「ありがとうございましたー」
「ああ、また来な」
「うお姐ありがとー」
戸田が魚里に掛け合って、魚里班の名前で源に機材を触らせているという話は聞いていた。どうやら今日もそんなことをしていたらしい。
悪いことをしたつもりはないが、何となく物陰から源の様子を窺う。戸田の見立て通り、インターフェイスで光ったコミュ力はここでも発揮されている。
「朝霞ー、助けてくれー」
「寄るな」
「頼むー、一生のお願いだ!」
「春学期だけで3回目だな」
班のブースに入ってきた朝霞クンがバタンと扉を閉めても、外ではカリカリと扉をひっかくように助けを求めて啜り泣く声が漏れてくる。いいの、と聞いてもほっとけの一点張り。
もちろんこの場合、ミーティングルーム自体の扉は開いていて、傍から見れば異端な光景ではあるよね〜。だけど、部活の場で朝霞クン―流刑地の主―に縋ろうとするとかある意味勇気ある行動だよね〜。
ない!
どうもこんばんは、エコです。
今日はプリンを食べようと思ったのですが、コンビニにプリンがなかった……
コンビニでちょっと奮発するプリンね。200円くらいのちょっと贅沢なヤツ。
ちょうどなかったとかどういう呪いよ……レッドブルを飲む用事はないんや
朝霞Pの誕生日とは言え例によって本人不在。
ナノスパって誕生日話に本人不在ってよくやるパターンよね
普通に考えたら人の誕生日なんてそうそう覚えてないと思うんだけど、
ナノスパの人たちはやたら祝わそうとするよなあ……
いっそMBCCみたく清々しいまでの口実にしてくれればいいんだけど!!!
「ただいま〜」
「おかえり洋平、意外と早かったじゃん」
「で、どうする」
目の前では、山口先輩とつばめ先輩が何やらひそひそと打ち合わせ中。朝霞先輩は班長会議に出席しているからもうしばらくは戻って来ないだろう。
星ヶ丘大学放送部の一大イベントである丸の池ステージまでは1週間を切っている。どこの班も最終確認に一生懸命。それは朝霞班も例外ではなく。
なのに、山口先輩とつばめ先輩の打ち合わせは、どうもステージのこととは関係ないような。つばめ先輩だし、対策委員のことかもしれないとは思ったけど、それとも違う。
「ジャッカジャッカジャジャジャジャーン、ジャッカジャッカジャジャジャジャーン」
「ベッベベッベベベベベーン」
「ジャーン!」
わー、と2人分の歓声と拍手が沸く。星港大学国際学部斉藤ゼミではよくある光景だ。金髪をオールバックにしたグラサン派手シャツギターと、死んだ目・柄シャツベースの流し。
「芹ちゃん、イッセー決まったじゃん!」
「いやー、安定のゲテモノだ」
「ゲテモノって言うな青木!」
「そーだよリンちゃん、見た目はこんなんだけど腕は確かだよ、芹ちゃんもイッセーも」