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【SSS】リミットは近付いている

「なるほどな。そりゃ昨日の伊東が俺の思った以上にカリカリしてたワケだ」

 場所は8号館ロビー。ここは俺が寝床にしている場所で、定位置となったソファに腰掛ける。隣には、ぐったりした様子の果林。別に昨日の酒が響いてるとかではなく、対策病の一歩手前。尤も、果林の場合は病むのではなく怒り疲れだ。


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【SSS】晴れたらいいね

 1日の授業が終わり、掲示板に立ち寄る。よかった、休講情報も出てないし、普段通り。さて帰ろうと改めて外に目をやれば、ふらふらと、死んだ目をした男が通りかかる。
 あまりに目が虚ろと言うか、光がない。場所が場所なら飛び込んでるんじゃないかとか、それっくらいには。うちにこんなことを言われるなんて相当だぞ。

「ノサカ!」



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【SSS】連係プレーと闇の事件簿

「ふーっ……よしっ」

 いっちー先輩の手が見えない。凄まじい速さで電卓を叩いている。それだけ速く電卓を叩こうものならアタシだったら絶対間違えるけど、何て言うか、“ワールド”だよね、いっちー先輩のワールド。

「あっ、次サークル費っていつでしたっけ!」
「来週の月曜だ」
「あ、よかったーって、じゃあどうしていっちー先輩は電卓バチバチやってるんですか? って言うかそもそも会計って育ちゃ――それは察しましたけど、何でこのタイミングで」
「でけェ声じゃ言えねえ事情だ」


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【SSS】無垢な瞳は責めきれない

「えーと、水鈴は」
「ミーちゃんは事務所から呼ばれて出掛けちゃいましたッ! 要件はうちが言付かってますッ!」

 目の前には、話し方はそのままに水鈴を縮めたような女の子。借りてた物を返したいから取りに来いと呼び出されたまではよかった。だけど、俺を出迎えたのは水鈴ではなく妹の奈々ちゃん。
 妹の奈々ちゃんとは面識がない。ただ、初めて会ったような気がしないのは、水鈴がいつも楽しそうに家でのことを話していて、どんな子かは知っているからだ。


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【SSS】強く野に咲く花になれ

「糸魚川呉服店でーす。衣装配りまーす」

 さとちゃんの声に、さっそくわーいと1年生が列を作る。1年生はみんな同じ森の妖精がコンセプトの衣装だけど、それでも微妙に人によってスカート丈とか裾のデザインなんかを変えてあるみたい。
 サドニナの衣装は、スカートが幾重にも重なってふんわりしたシルエット。アイドルが着てるみたいなあんなイメージの。ユキちゃんのはスカート丈が長めで、軽く刺繍が入ってる。ミラのは基本の形。サドニナとユキちゃんは注文が多かったみたい。


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