「おい、朝霞」
「うーん……」
「朝霞起きろ」
「んー……」
せっかく人が気持ちよく寝てるのに、邪魔すんな。あと5分、あと5分……
「みなさん、飲み物は行き渡りましたか?」
「はーい」
「それでは、無事に植物園イベントも終了したということで、1年生の歓迎会と兼ねることになって申し訳ないですが、打ち上げを始めたいと思います。乾杯!」
かんぱーいと声が揃い、グラスが合わさる音が響く。青葉女学園大学放送サークルABCの花形イベント、植物園ステージの打ち上げと新入生歓迎会は毎年同時に行われていて、ある種の伝統。
現時点で1年生はアナウンサーのサドニナこと佐渡仁那、ユキちゃんこと上野美雪、そしてミキサーのミラこと新庄美咲の3人がいる。このイベントではパートに関係なくステージ進行の補佐をしてもらった。
これからも新しい子が入ってくるかもしれないけど、一応いい時期ではあるし打ち上げの時期でもある。金銭的な面もあるし同時にやろうというのが同時開催の始まりという説。
菜月さんである
どうもこんばんは、エコです。
真面目に描こうとしてもなかなか描けないキャラ代表、奥村菜月。
圭斗さんをいつもラスボスだの何だのと言っているけど何気に生首ならこの人の方が多い。
菜月さんをデフォルメじゃなくちゃんと描こうとして描けたことが記憶に曖昧である。
5月も月末ですってよ奥様
6月を見据えたお話作り、とか言ってる間に7月になるんだきっと
ここで恐る恐るストックを確認してみよう。……よし、季節感はあまりないな!!!
でも季節感のないお話だからってやってるとまた年単位で先送りに……
ひいおそろしい
そういや6月って何気に誕生日のキャラが多いことも念頭に入れなければならない
来たる星ヶ丘ウィークをどう迎えるかよ、ひいおそろしい
「げっほげほっ」
激しい咳が止むことはなく、重い体を引きずるようにやっとやっと歩を進める。たどり着いたロビーのソファに崩れ落ちてからも、タオルで口元を覆って咳を繰り返す。
圭斗先輩に言わせればこれはこの時期の風物詩なのだそうだ。向島の気候が体に合わないのか、菜月先輩はこの時期になると夏風邪を患われるようになった、と。
菜月先輩は辛そうにしている姿を他人に見られたくないはずだと思いつつ、辛そうにしているのを放っておくわけにもいかず。何かが起こらないとも限らないし一応付き添うことにした。
「朝霞、これはどういうことなの」
「……あのなあ宇部、俺に言われてもどうしようもないことっていうのはあるぞ」
「わかってるわ。でも、私も一応この件に関するあなたの責任について問い詰めなければならない立場だということを理解してもらえると嬉しいわ」
真っ暗な部室、そこで行われているのは尋問とか説教とか、そんな類の話で決していい話題ではない。ただ、いつもと雰囲気が少し違うのは、宇部が呆れ返っているというところだろう。
星ヶ丘の放送部は幹部の言うことが絶対。とは言え、その幹部ですら部長の意向に逆らうと首を切られるのは同じ。いくらくだらないと思っていても、やらなければならない仕事はある。