「はーい、お疲れさまでしたー、学生証ですー」
――と、ニコニコ応対をしている川北だけど、さっきから頑なにこっちを振り返ろうとはしない。私が書類仕事をしている机の上では、川北のスマホがさっきからブーブーブーブー振動を続けている。
こないだ、現在センターにいるアクティブなスタッフでLINEのグループでも作ろうかという話になったとき、川北は「俺LINEとかやってないんですよー」とほけほけした様子で言っていた。やらないのかと聞いたらやらない、いや、やれないと。
LINEのグループ云々については別に困ってないし、現状のままで行くことになった。だけど、そういう話があったことを見計らうように電話がひっきりなしにかかってくるようになった。ちなみに、今日この瞬間が初めてじゃない。これが3日目くらいだ。