今日も今日とて真面目で研究熱心なお兄さんを装って出て来たゼミ室に、バイト上がりだというリンが戻って来た。土曜ということもあり、情報センターの開放時間も平日よりはいくらか短い。とは言え日給上限の6000円を座っているだけで稼ぎやがったかと。
 それはそうと、午後5時を回って空は大分暗くなってきて、夕飯のことなども考えなければならない時間帯に来ていた。ゼミ室での食事と言えば備蓄されているカップ麺やリンが放置しているジャガイモなどがあるが、今日はどうしたものか。まあ、帰ってもいいんだけど。

「石川、何か食うものはあるか」
「ない」
「使えん奴だな」
「お前に言われる筋合いはない」
「お前、今日は何時までここにいるつもりだ」
「特に考えてないが、日付が変わるまでには家に帰るつもりだ」
「珍しいことがあったモンだな、実質的住所が大学になってるお前が家に帰るとか」