「ところで圭斗」
「ん、どうしたんだい?」
「お前、夏になるとウナギウナギうるさいけど、今年の丑の日っていつなんだ?」
そう訊ねた瞬間、圭斗の動きが固まった。
圭斗はウナギに対するこだわりがとても強い。と言うか何に対しても割と形から入りたがる方だ。圭斗はウナギの名産地である山羽エリア湖西市の出身で、去年もその前も土用の丑の日には地元に帰って天然もののウナギを食べに帰っていたらしい。
うちにはとても理解が出来ないんだけど、圭斗にとっては土用の丑の日に鰻を食べに帰るというイベントは大事なことなんだろう。って言うか絶滅危惧種なのにめっちゃ廃棄されてるみたいな話も聞くし、いっそたれごはんで十分なんだけど。