「安曇野、デビッドとゴライアスに餌やっといてくれ」
「はーい」
さらさらと、祭りの金魚すくいより大きく育った魚の泳ぐ水槽に顆粒の餌を落として行く。パクパクと、餌を啄む赤と黒の金魚が緑ヶ丘大学美術部ELLEで飼っているペット。
絵の具で汚れたつなぎを着たその人が、美術部部長の梓川美和子。アタシは美和さんと呼んでいる。白いつなぎは4年をかけて汚していく美術部の伝統着。アタシの物ももう少ししたら届くそうだ。
安曇野唯香、緑大社会学部メディア文化学科1年。ビラをもらって見学をして、特に迷うことなく美術部への入部を決めた。元々CGや写真は趣味としてやっていた。ここでもその腕を磨きたい。