「浅浦クン!」
「ああ、宮林サン」
「お茶しない?」

 そう言われてやってきたのは、いかにも和風な落ち着いた雰囲気の店だ。彼女の運転する車で、他に行き先を迷うことなく。
 普段は天ぷらの店だけど、カフェタイムには抹茶のドリンクや和の甘味を出しているようだ。洋菓子の食べられない俺に対する彼女なりの気遣いなのかもしれない。
 彼女は抹茶フロートを、俺は熱い抹茶を飲みながら、話しているのは他愛もないことばかり。きっと、俺の顔を見かけたから気紛れで引っ張ってきたのだろう。でも珍しいな。伊東はどうした?