公式学年+1年

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「鵠さん」
「ん?」
「鵠さんの部屋って確か七輪なかったっけ」
「……あるけど、どうかしたか」

 10月某日午前2時過ぎ。佐藤ゼミでもやれ大学祭だなんだと曜日や時間を問わず精力的に活動をしていた。日中よりも爛々とした目をしてブースの看板に色を塗る高木が、突然何を言い出したかと言えば、七輪だ?
 ちなみに、うちの七輪は元々GREENsの誰かが所有していた物だ。伊東サンの誕生会でネギパーティーをしたときに初めて持ち込まれた。俺の住むコムギハイツTが大学から徒歩5分という事情でイベント会場にされたりたまり場になったりした結果、部屋がGREENsの用具倉庫になりつつあった。