「ふぁ〜わ」
「タカシ、眠そうだね」
「大分眠いです」

 秋学期が始まって数日。まだ真っ当な人としての生活を送るようには体が戻りきらない状況で、油断をすればあくびが出てしまう。大学には何とか来ているけど、足りない睡眠を授業中に取り戻しているという感じだ。
 そんな俺の様子を見て伊東先輩が苦笑い。「寝坊で単位落とさないようにしないとね」と言われれば、俺は「春学期のレポートはそれでひとつ出せませんでした」と返すのだ。せっかく苦労して書いたのに、起きた頃には提出期限が過ぎていたとかいう笑えないヤツ。