「おい拳悟、車出せ」

 今日は月曜日で美容師の拳悟は仕事が休みだ。元々、どこか適当な月曜に会おうという話にはなってたから、連絡を入れて現在に至る。コイツには聞きたいことは2、3ある。返答次第ではぶん殴る必要もあるのだ。
 乗り物には相変わらず酔う。しかし、車に乗らなければならない事情があった。助手席でコーヒーの紙パック片手に延々と自分の話を投げ続ける。喋り続けるというのは乗り物酔いに対する対処法のひとつだ。

「拳悟、単刀直入に聞く。お前、年末にギターやる予定はあんのか」