菜月先輩の横顔を見る機会は人より多い方だと自分で思っている。番組収録でいつも見ているその横顔が、今日は何だか少し違うような、そんな印象を抱いた。
 何が違うのだろう。そう思い、マイクスタンドの前に座る彼女の顔をまじまじと見つめる。無論、見つめていることを悟られないように。透き通るような肌や、スッと伸びた睫毛は美しくて溜め息が出る。

「菜月先輩」
「ん、どうした」
「今日は、体調がいつもよりよろしいですか?」
「どうしたんだ急に」

 苦笑して、こちらに顔を向けた菜月先輩の表情に、少しドキリとして。もちろん、それを悟られないようにというのは言うまでもないのだけど。今日の菜月先輩はどうしたんだ、心臓に悪すぎるじゃないか。