「でだ! カレーを作ることには決まったけど、お前ら接客は出来るか!」

 高井圭希が無駄に張り切っている。この岡本ゼミでは異質の熱さ。属性に分けるなら間違いなく火属性であろう高井が、いまいち上がり切らないオレたちの尻を叩く。そもそも、何故ゼミ室に集められてカレーの話をしているのかというところに話は遡る。
 高井は今年専門学校から星大に編入してきて、大学でのイベントはすべてが初めてだ。高井ほどムダに熱い男が大学祭といういかにもなイベントに熱を上げないはずもなく、ゼミ生に確認を取らずに勝手にブース出展の申し込みをしやがったのだ。
 有無を言わさず巻き込まれたオレたちはやる気もそこまでなく、個々人が立てていた元々の予定もあるしで乗り気ではない。しかしそんなことにもお構いなくカレーの話を続ける高井だ。