「うーす、来たぞ」

 短いインターホンの後に、ドンドンとドアを叩く音がする。高崎先輩だ。10秒待たすと怒られる。はーいと返事をしてドアを開ければ、いい匂いが漂って来る。
 バイト上がりらしい高崎先輩の手には、バイト先で焼いてすぐ持ってきたピザがある。社割で安く買えるそれがちょっとしたつまみになることは多々ある。
 そして俺の方も準備は整いつつある。台所にはバットの上に敷き詰められた餃子、部屋には卓上コンロにフライパン。今日、ここでこれから行われるのはちょっとした宴だ。

「先輩お疲れさまです」
「ビール買ってきたぞ。すぐ飲まねえ分冷やしといていいか」
「突っ込んじゃってください。こっちもあと焼くだけなんで」
「あと、ついでだから焼いて来た。ちょっとつまもうぜ」
「俺ピザ食ったらすぐ腹いっぱいになるんすよね」
「お前食わなさすぎだろ」