「おー、菜月ー!」
「亮介ー、去年ぶりやんなー! えっと、ヤスは?」
「ちょっと遅れるから先やっといてーやって。店行くか」
「やね」

 夏振りに実家に帰ってきた。年末だからと言って特に何をするでもなく、強いて言えば悪友と忘年会をやるくらいだ。悪友の片割れで、今は青丹エリアに出ている橘亮介とまずは落ち合う。奴は高校の同級生だ。
 こっちに友達があまりいないというか、わざわざ会おうと思うような間柄の人間がいないと言う方が正しいかも知れない。進学の度に友達関係はリセットされるけど、それで残る人は友達と自信を持って言える。