公式学年+1年

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「おはよー」
「おっ、佐竹うーす」
「佐竹さんおはよう」

 夏は夏でゼミの課題はてんこ盛り。スタジオは例によって昼も夜もない。午前11時半、スタジオの重い防音扉が開き、フロアへと下る階段を見上げれば、手荷物を提げた佐竹さんが降りてくる。

「唯香さんは?」
「安曇野タイムは健在で」
「だよね、知ってた。唯香さん昨日オンタイムで深夜アニメ見てたしね。アタシはそこで寝たんだけど唯香さんはその後から部活の作品制作してたみたいだから」
「つーかそれを知ってる佐竹がちゃんと来てんのに安曇野がいないっつーのはどうなんだ」