年末年始で実家に帰ると向島とは比べ物にならない雪景色。今年はあったかいっていうのはニュースでも見たし、どかどかと積もったってワケでもないけど久々だなあ、帰ってきたなあと思う。
自校……えっと、これって地方の略称なんだっけ。自動車学校ぶりの雪道運転だけど、スタッドレスはいてたハナ勝ち組でしょ。向こうでは「そんなタイヤ要るか?」って言われてしょぼんだったけど!
――というワケで、地元に新しくオープンしたお店巡り。アウトレットモールとか、ショッピングモールとか。いろいろオープンしたけど夏は夏、冬は冬だからー。買い物で移りゆく四季を感じるってコト。
「あ」
「えー、まさかですー!」
靴屋さんで鉢合わせたのはまさかのなっち先輩。緑風出身だとは聞いたことがあったけど、こうしてばったり会うなんて。まあ、田舎は行くところも少ないからー。
なっち先輩と言えば1年の間では神様だからね。ばったり会ったからって本来は声をかけられるような間柄でもないし。でもそこはハナのコトにも気付かれたんだからセーフですよ!
「なっち先輩そのブーツ買うんですか?」
「欲しいけど、まだちょっと考えてる」
「えー、これ裏のチェック柄かわいー。チェーンもなっち先輩っぽいー。てかヒール高っ! やっぱりなっち先輩と言えばヒールですよー、ハナちんちくりんなんでロングブーツなんて履いたらしょぼんなんですよ」
「ブーツで言えば、ハナはこういうイメージだな」
そう言ってなっち先輩が持ってきてくれたのは、ショート丈でヒールの低い(でも4センチある)もの。ふわふわとしたポンポンがついていてかわいらしい。
「えー、かわいー!」
「逆にうちはこういう可愛らしいのは履けないからな」
「え、何でですかー?」
「イメージに合わないだろ」
「えー、チェックのスカートにポンポン合うじゃないですかー」
結局、買い物はまだ序盤だということで即決することはなく頭の片隅に置いておくことに。初っ端から衝動買いしてたら予算なんてあってないモノになっちゃうしー、しょぼーん。
それから、何か流れでなっち先輩と一緒にぐるぐるとお店を回っていた。何て言うかその場の勢いって怖い。だってここに着いたときはまさかこんなコトになるなんて思わないよ。
それがどうしてか、よりによってなっち先輩と一緒に買い物してるとか。なっち先輩がこれなんか似合いそうってハナに服を合わせてるとか地元だからこそですよ。
「そう言えばなっち先輩ってどうやってここまで来たんですかー?」
「兄貴と一緒だ」
「えっ、なっち先輩お兄ちゃんいるんですか!? えっ、でもお兄ちゃん今はどこに」
「見たい店が違うから別行動だ。互いに満足したら連絡を取り合って落ち合う、みたいな感じで」
「なるほどです。でもなっち先輩のお兄ちゃん、見てみたいなー」
見てもロクなことはないぞとなっち先輩がこの話を終わらそうとするけど、なっち先輩のお兄ちゃんとか見てみたいに決まってるじゃないですかー、しょぼーん。
「うーわっ、葉月アイツ買い物しすぎだろ」
「えっどれですかどれどれ!? あー! あれですか!? えーイケメン! って言うか似てる兄妹なんですね!」
「いや、正解とは言ってないぞ」
「あれだけ顔が似てるのに別人とかないですよー、しょぼーん」
買い物が済んだならポップコーンでも買いに行かせようかな、となっち先輩はケータイを開く。てかなっち先輩まだガラケーなんだ。あー、でもハナもポップコーンは食べてみたいなー。
「アウトレットあるある」
「あるあるー」
「買うワケでもないのにキッチン用品店を見て回る」
「あるあるー、しょぼーん」
end.
++++
ハナちゃんがぶーんと帰省して、趣味のお買い物をしようとしたらまさかの遭遇があった模様。というワケで緑風組の年末。
前にもハナちゃんと菜月さんの遭遇のお話はやったのですが、今回は舞台を新たに前回より本格的なお買物です。
しかし緑風は菜月さんがいない間にどんどん発展してるけど、向島大学周辺は発展するする詐欺でずーっと何もない更地のまんまだな!w