それから、俺はどう行動していたかを全く覚えていない。記憶という意味でも、体や心に刻み込まれているかという意味でも。わかるのは、鉄の重りでも乗せられたように体が重く、ここがサウナかと思ってしまうような熱さだけ。
 それでいて何とか立ち上がると四肢は言うことを聞かずふらふらと浮遊するかのようだ。さながら無重力状態。右手が千切れてその辺に漂っていくんじゃないか、そんな錯覚。天地感覚もない。いつもならスウェットの裾を踏んで堪える冷たいフローリングがいやに気持ちいい。
 測らずとも熱があることはわかる。それならば、具体的数値を目にして気から病を重症化させるよりは、狙ったポイントにコンディションを持っていくこと。今日、金曜日であればこの後12時20分に本番が迫った昼放送。その30分間に出来得る範囲のベストを持っていくための栄養ドリンク。