「おーいー、冴ー、お前、その気が無いならいー加減にちゃちゃっとアイツをフってくんねーか。センター近くでチラチラされちゃこっちもやりにくくてしょーがねーぜ」
「やァー、どーゆーつもりなンすかねェー」
「そう毎回川北の先輩に頼るワケにもいかねーんだからな」
ここのところ、情報センターには招かれざる客がチョロチョロするようになっていた。向島大学の学生がどうやら土田に惚れている(?)ようで、土田が確実にいるとわかっている情報センターの前で張っているようだったのだ。ついでに、綾瀬とも因縁があるとかないとか。
まだ受付に詰め寄って来たりスタッフに危害を加えたりという行為は見られないものの、受付から見えるか見えないかくらいの場所でチラチラとこちらを窺っているから不気味と言うか、気色悪くて仕方ないとは春山さん。オレもその意見には同意ではある。
最初に奴が現れたときはたまたまセンターを利用しに来た大石という男が対処してくれたのだが、そう毎回大石が来てくれるワケでもない。そして具体的な策もないまま現在に至っている。気色悪いというだけで実害はまだないのだが、如何せん情報センターは他校生の来る場所ではない。どうにかして排除したいというのがオレと春山さんの考えだ。