「糸魚川呉服店です」
去年から、イベントの前には糸魚川呉服店ことさとちゃん、糸魚川沙都子がみんなの採寸をするようになっていた。さとちゃんがこの掛け声をかけると、みんなさとちゃんの前に整列して。
さとちゃんは衣食住について勉強している生活科学部……平たく言えば家政科の2年生。衣と食に関心が強くて、春の履修は衣が6、食が4くらいなんだって。同じ生活科学部のユキちゃんは、住に重きを置いてる子。
「さとちゃん、今からこれだけの人数の衣装作るのって大変じゃない? 前に使ったのでも大丈夫だよ?」
「ステージにはそれぞれコンセプトがありますから。Kちゃんの台本に合わせたイメージの服を作りたいんです。それに、大体のパーツはもう作ってありますから」
「そう。それならお願いしようかな」
「1年生の子たちも、衣装作るのに採寸するから並んでてねー」
「はーい」
「サドニナに似合うかわいいのにしてくださいね!」