「わっすごーい! ねえ朝霞クン、綺麗だよ」
「そうだな。CMで見てスゴいなとは思ってたけど、実際に見ると圧巻だな」
光のトンネルを前に、足が吸いついたように動けなくなった。プロジェクションマッピングとも違う、本物のLED電球で飾られたイルミネーションは話に聞いていた以上に壮大で、心躍る光景だった。
昼はアウトレットで買い物をして、夜はここでイルミネーションを見て。充実した1日になった。今日はこの近くのホテルに泊まることになっていて、荷物ももう置いてある。12月24日の男2人旅。カップルが多すぎることを除けば、これも悪くない。
「悪い、待ったか」
う、うわあああ! 頑張って早く来て良かった! 今日は「土曜日の予定を埋める会」と称して菜月先輩とお出かけをすることになっている。待ち合わせ場所にいらした菜月先輩は、いつもとは違う髪型ですごく可愛らしい。
「時間にはまだなっていません。菜月先輩、髪型ですが」
「慣れないことをするべきじゃなかったか」
「いえ、よくお似合いです。いわゆる“くるりんぱ”というヤツですよね」
「そうだけど、うちの髪型はいいんだ。って言うかお前だって服がいつもの感じと違うじゃないか。白も似合うじゃないか」
「恐縮です」