ガシャン、パリンという音で我に返る。床を見ると、派手に散ったガラスと赤黒い液体。
「あ〜、朝霞クン大丈夫!? ケガしてない? 服は? うん、よかった〜、大丈夫だね〜。今片すね〜」
俺の足元では山口が飛び散ったガラスや液体を片付けている。俺の手元には白いままのじゃこたまごかけごはん。そうだ、俺はこのじゃこたまごかけごはんに醤油をかけようとして瓶を落としてしまったのだ。
自分のしてしまったことを理解した瞬間、改めて下に目をやる。俺は焦っていた。行きつけの店とは言え、出先で何をやっているんだ。醤油瓶ひとつまともに握れなかったのかと。