「お邪魔しまーす」
「どうぞ」
エイジがうちに遊びに来た。エイジとは同じMBCCにいながら互いに第一印象が最悪だったこともあって目すら合わせないことがほとんどだったけど、気付いたらこんなことになっていた。
話すようになったばかりの頃は中津川くんって呼んでたけど、少しずつその頻度が高くなってくると下の名前で呼ぶように言われた。名字で呼ばれるのは慣れていないらしい。確かにサークルでもみんな下の名前で呼んでいる。
窓を開けてビールを飲むのが最高な季節を迎えつつある。冬の間は光熱費のためだったバイトが、そろそろ酒代を確保するための物になりそうだ。
ふと思う。梅雨の晴れ間は貴重だ。梅雨に入ると湿気がうぜェし布団は思うように干せねえしロクなことはない。カビの対策なんかも必要になる。
「あー、やっとかなきゃっすね。水回りにエアコン、あとクローゼット」
「エアコンとか考えたこともなかったぞ」
「ダメっすよ高崎先輩、エアコンはちゃんとメンテしとかないとどんな空気吸わされるかわかったモンじゃないっす」