世界一の魔道師・リリルク・ベルグは、その日、国の王に呼ばれ、久しぶりに街へと下山していた。
リリルクがこうして下界に降りる事も久しい事であり、また、人前に姿を見せる事も珍しい事だった。


 リリルクは不機嫌を隠さずに、苦虫を噛んだような顔で足早に街中を歩く。
周りの人間の謙遜をみるたびに、リリルクは眉を潜め、機嫌の悪さをあらわにした。


 普段は山小屋で、薬草を摘んだり、新しい魔法を考えたりするのがリリルクの仕事であり、人前に出るのをよしとしないリリルクは、滅多に山から降りない。

リリルクは元々人間が嫌いで、用事がなければ人前に出ないし、他人と関わるのが煩わしいとさえ思っている。

今回、山を降りたのは、一重に国の王に緊急事態だと何度も催促を入れられたからだ。
普段のリリルクなら例え緊急と言われても動きはしないが…今回ばかりは少し街に降りる用があった。


 リリルクは、世界一の魔法使いであり、その魔力は世界中から恐れられたり、嫉まれたりする程である。
国ひとつ、リリルクの力で消すのは訳無い事だし、昔は一度、実際に小さな国を滅ぼした事がある。
他の魔道師から、何度か呪いも受けた事があったが、すべて跳ね返したほどだ。

誰もリリルクの魔力の前には、無力だし、誰もリリルクには勝つ事は出来ない。
持っている魔力が違いすぎるのだ。
通常では計りきれない程の魔力を、リリルクは幼い頃から兼ね揃えているようだった。人は彼を、天才といい、幼い頃から周りと違う目で見ていた。


街の人々は、リリルクの姿にヒソヒソと、言葉を零す。

黒いマントと黒いローブを羽織り、銀色の眼鏡をかけたリリルクの出で立ちは、冷たい印象を受ける。

元より、顔も一つ一つのパーツが計算されたように配置されていて、よりその冷たい印象に拍車をかけていた。

頭に被っているフードから除く銀色の太陽に透ける髪は、とても綺麗なのだが、冷たいリリルクの表情をより冷たく見せた。どんな場所でも好奇な視線に晒されるのだ、リリルクは。
いい意味でも悪い意味でも。


「わーん、待って下さいーししょー」

リリルクの後をパタパタと音をたてて、泣きながらついてくる少年。
キラキラと、薄いハニーブラウンの髪は日に当たりさらりと揺れる。

大きな鞄を携え、あわあわと落ち着くなく走る様は見ていてとても不安になってくる。
クールなリリルクとは真逆の、いかにも子供で明るいその少年。

リリルクはその少年の呼び声にはぁ、とため息を零し、歩みを止めた。


「クリス…」
「はぁはぁ…、あ、お待たせしました、おししょー様」

少年はリリルクにむかって、ニパッと太陽のような明るい笑顔で笑う。
あどけないその子供のような笑み。

大きな濡れた瞳は長い睫毛で縁取られ、頬を紅潮させ息を弾ませている。

幼さが残るその顔は、まるで小動物のように愛らしい。

 小さな、桜色の唇はぷっくら膨らんでおり、はぁはぁ、と荒い息を零している。
少し…甘い吐息に聞こえるのは…不埒な考えが頭にこびりついているからだろうか。


「…ししょー?」

上目遣いでこちらを伺う少年。
その顔は計算されたものなのか…。それとも天然か…。

誘われているような気がしなくもない。
いや、この少年に限って『誘う』などと高等技術が使えるハズがないから、やはり天然でやっているんだろうけど…。


「…すまない…」

リリルクは、眼鏡のブリッジを中指で押し上げながら小さく謝罪する。

「ふぇ?あっ…」

少年はキョトン…と無垢な顔をしながら首を傾げた…。


「…」
リリルクはそんな純粋無垢な瞳で見つめる<弟子>に、ひとつわざとらしく咳ばらいをし…

「いくぞ…」

先を促した。

「は〜い、ししょー」

少年は元気よく返事をして、スタスタと歩くリリルクの後ろについて歩いた。リリルクが気にするのも、リリルクの隣にいられるのもきっと後にも先にもこの少年くらいなものじゃないだろうか…。


少年の名前は、クリス。
甘いハニーブラウンの髪を持った、半獣だ。

今は茶色の帽子を被っていてわからないが、帽子を外すと大きな獣耳がある。リリルクが作った服で上手い事隠れているが、尻の方にはフサフサした尾もあった。

クリスはどうやら狼の獣人らしく、生えている耳や尾は狼のものだ。


「ちゃんと帽子を…」
「わかってますよ、ししょー、パニックになっちゃいますもんね」

ニパッと明るく笑いかけるクリス。その笑顔はパッとさいた向日葵のようだ。


「…わかっているならいい…」

リリルクは、そう呟くと、また口をつぐんだ。


口数が少ないリリルクだが、ちゃんとクリスを案じているのだ。

クリスは元々、獣人として迫害を受けていた。

この世界には数多くの獣人が存在する。

この世界は、獣人と獣、それから人間と魔物が入り乱れていた。

中には、クリスのような人型ではなく身の毛もよだつような姿の獣人の人間もいる。

そういった獣人は昔から悪さをする為、人々は獣人というだけで迫害するのだ。
元々は、人間が獣人の領地を奪い、獣人は住む場所を奪われたから人目に現れているというのに。


クリスも、獣人ということで兼ねてから迫害を受け、逃げ惑い山にいるリリルクに保護されたのだ。

といってもリリルクは、極度の人嫌い。最初はクリスなぞ、助けるつもりなんて毛頭なかったのだが……。


「うわ…、ししょー、凄いフルーツでいっぱいです!うわぁ…あれ食べれるのかなぁ…。うわ…あっちにも!」

キラキラと、街の商品を見ながら目を輝かせるクリス。
獣人だと知られればたちまち、人々はクリスを白い目で見られると気づいているのだろうか。


「クリス、」
「ししょ、後で、僕あのふわふわ買いたいです!それから…」
「クリス」
「それから…えぇっと…」
「クリス」
「あっとししょーは何食べます…」
「クリス、」


散々呼んで、ようやくクリスは口をつぐむ。


「…ごめんなさい」

ようやく、クリスははしゃぎすぎた自分を恥じて、小さく肩を落とした。

しゅん…とするその姿は、帽子をとればきっとペタリと耳が垂れているだろう。

もっとはしゃがせても良かったか…?と思う辺り、リリルクはかなりの師匠馬鹿と言えよう、




「私はこれから城へいく。
クリスは街を見学したらいいだろう…」

ポンポンと、クリスの頭を叩くリリルク。
自分では気づいてなさそうだが、その瞳は愛しさが滲み出ている。

クリスは、はい!と威勢よく返事をし…、

「あ、ついでに、足りない薬品も買いますね!」

と言う。


「いや…薬品はお前に頼んでも…」
「ちゃんと買えます!」
「いや…でもな…」

リリルクが返事を躊躇すると、またクリスの顔が曇る。

「僕…、そんなに頼りないですか…」

クリスはこういってはなんだが、かなりドジな弟子だ。
今まで散々、頼み事をしては失敗し後始末に走るのはいつもリリルクの役目になっている。


たかが買い物。されど買い物なのだ。

「……、」
「あの…ちゃんと切れかけの薬品チェックしたし、お金もちゃんと持ってきました。だから…」
「薬品なんか買わなくても…。好きに街を見ればいい。お金も好きに使ったらいい。気兼ねするな…」
「でも…っ、僕…ししょーの役に…」
「いいんだ。お前は街にずっと来たかったんだろう?またいつ来れるかわからない。今日くらい思いっきり遊んだらいいだろう」

リリルクは、そう諭し、いいな…と念を押す。

クリスは不満気に頬を膨らませていたが、一瞬何かを思案し…

「じゃあ、僕好きにします!」

と言い切った。

「いい子だ。じゃあ待ち合わせは…そうだな…夕刻。お日様がオレンジになる頃。この木の下だ」

街と王宮のちょうど境にある木を指差し、いいな…とリリルクはクリスに確認する。
クリスは時計が読めないのでイマイチ心配だが…

「わかりました、行ってきます!」

クリスはリリルクの心配をよそに、街へかける。

リリルクはしばらくクリスが心配でその背中を見つめていた。

偉大で人々に恐れられている魔道師リリルクもまな弟子には過保護だ。

立派に保護者をしていると言えよう。


クリスの背が見えなくなると、リリルクは王宮へと急ぐ。

どうせまた、戦争の話に自分の力が必要だと言うのだろう。

リリルクは自然と強張る顔をそのままに、王宮へと急いだ。
「リリルク様のおなり〜」

案の定、何人もの従者に丁重に持て成されたリリルク。
これはいよいよ戦争の話だろう、と踏んだ時、恰幅のよい王が姿を現した。

リリルクは一応、この国の王の威厳の為に頭を下げる。
王はそんなリリルクに「よくぞきてくれた…」と満足そうに笑った。


「リリルク、立ち話もなんだ、わしの部屋に来ないか?食事でもしながら…」
「お言葉ですが、王様。私にもこれから所要がございます故」
リリルクは丁重に、王の誘いを断る。
この頭のいい王の事だ。長居をしていたら、それだけ何かを頼まれる。

食事…といって、食べ物に何か入れる場合もあるかもしれない。


現に、王はリリルクに一人魔法遣いの監視をつけている。リリルクが他の国へと寝返らないようにだ。
リリルクとしては不快極まりないが…
クリスの事もあるのでそのままにしている。
山奥で暮らすリリルクだが、一応山は国の領地だ。
何かあればクリスも引っ越さなくてはならない。
クリスは今の住んでいる場所が大変気に入っている。いきなり引っ越しなど、酷だろう。


「うむ…そうか…、まぁいいだろう」
「それで王様、話を聞きたい。言っておくが私は、戦争に力を貸す義理はないし人殺しに興味はない。頼むなら他をあたるといいだろう」
「相変わらずだな…リリルク。昔のお前は国を滅ぼし続けながら場所を転々としていたと聞いたが…」
「昔の事だ」

リリルクはそう吐き捨て、眼鏡をあげる。

少し…いらついているかもしれない。
昔の事を持ち出してきた王に。

王も冷たい空気を醸し出したリリルクを察し、すぐさま用件を言う。


「わかった、お前がそう言うなら。
お前は万が一があった場合、この国の護りを頼みたいのだ。戦いはせんでいい」
「護り…?」
「そうだ…、我が国と今は同盟関係を持つ近国が最近きな臭い話をしていてな…、どうも闇の魔道師・ファンベルを招き入れたらしい」
「ファンベルとは…また…」

リリルクは、ファンベルの名に眉間にシワを寄せる。
闇の魔道師、ファンベル・ストロガナフは、闇の力と契約し、それは凄い魔力を保持している。

といっても、天才リリルクの前では赤子も同然だが。

このファンベルという男は自分の力の為ならなんでもやってのけるときく。なので魔術師の間では禁術とも言える闇魔法に手を出しているのだ。


「わかりました、もしもファンベルが出てくれば私も力を貸しましょう」
「ありがたい。」
「しかし、私は国取りも国民の幸せも興味がない。
もし、私の力を不当に使おうと思うものなら…」

ちらり…と冷たい目線を王に向けるリリルク。

王はコクリと息を呑み…

「…承知している」

ぎこちなくうなづいた。
この王とて、馬鹿ではない。これでも国の民からは慕われ、リリルクの力も充分承知だ。


「話はそれだけですか?」
「あぁ…。そうだ、リリルク、久しぶりの街だろう。存分に見学したらいい。我が国は美人揃いだ。どうだ…お前も、恋人の一つや二つ…」
「あいにく興味ありませんね…」

王の奨めをきっぱりと断る。

何てったって、リリルクには、可愛い弟子がいる。

そんのそこらの人間が太刀打ち出来ないような可愛い弟子が。


リリルクは軽く王に挨拶すると、まだ時間は早いがクリスとの待ち合わせ場所に急いだ。

あのドジな弟子の事だ。
リリルクが時間より早く着いていないと、探し周り自分が迷子になる可能性もある。 クリスを山で拾ってからというもの、リリルクの頭はクリスでいっぱいだ。

誰が冷酷非道な魔道師リリルクがこんなに弟子溺愛になると想像したか…

リリルク自身も、ついクリスを甘やかす自分を叱咤するがこんな自分の変化が嫌いではない。

むしろ、自分を大好きとキラキラとした目で見つめて来るクリスに救われている部分もあるのだ。


ずっと、一人で平気だったのに…。


「……遅いな…」

東の空を見つめながら、リリルクは焦れたように零した。辺りはもう夜に近く、夕日はだいぶ落ちかけている。

いくら街に熱中しても、クリスは時間を守る人間だ。
いつもなら、何か用を頼み森の薬草詰みを頼んでも空がオレンジ色になれば、すぐに戻ってくるのに…。


(なにかあったな…)

リリルクは瞼を閉じ、呪文を唱え、落ち着いてクリスの念を探す。

最近はこのクリスの気を探ってばかりだ。


『し…しょ…』

小さく啜りなくクリスの声。

どうやらクリスの身になにかあったらしい。

リリルクは焦る自分を落ち着かせ、身を翻した。


 クリスの気配はここからそう遠くない。
西に50キロほどの場所だ。

クリスに何が…


「クリス、」

魔法で瞬時にクリスの元に飛んだリリルク。

「ししょぉ…」

クリスは瞳に涙を溢れさせながら、やってきらリリルクにぎゅっとしがみついた。

みれば、被っていた帽子はなくなっており、服は引き裂かれている。
首筋には、朱いキスマークがいくつか散らばっていた。

(この姿は…まさか襲われたのか…)

まさかの事態に、リリルクは目を離していた自分を後悔し激しく詰る。
街に行き慣れてないクリスを一人街にやれば、どうなるかくらいわかっていたのに…。


「大丈夫か…、もう大丈夫だ」

腕の中にいるクリスに安心させるかのように優しく零すリリルク。
ギュッと強く抱きしめれば、クリスは小さく安堵の息を零す。


「ぼく…」
「クリス、」
「ししょ…ぼく……、」

ペタンと垂れプルプルと震える耳。
よほど怖い事があったのか…
クリスはリリルクの胸元をしがみついて離さない。


「大丈夫だ、私がいる」
「ししょー、」
「怖い事はもうない。安心しなさい」
「はい…」

ようやく少し落ち着いたのか…

クリスはリリルクから離れ、濡れた目元を服の袖で拭いた。
目元は兎のように赤らみ、大きなこぼれ落ちそうな瞳はうるうると涙で潤んでいる。

「何かあったか…話せるな…?」

落ち着いてそう口にすればクリスはこくりと頷く。

「僕ししょーと別れて、街へ薬品を買いに言ったんです、そしたら…帽子が取れちゃって…」
「クリスが好きなものを見ていいと…」
「でもぼく、やっぱりししょーの役に立ちたくて!だから…」

だから、裏路地にある薬品を売る店に足を向けたところ、風が拭いて被っていた帽子が脱げたらしい。


クリスがなんとか耳を隠そうとしているところへ、柄の悪い不良が現れて…

「ぼ、ぼくを…担いで、そいつら…人が来ないところに…。それで…それで服を裂かれて…、たくさん…舐められて…」

その時の事を思い出したのだろうか。

途端、またクリスの瞳が潤む。リリルクはギュッとクリスを頭から胸へ抱き込み、大丈夫だ…と声をかける。


「身体は、痛くは…ないか…」
「…痛くは…ないです…、気持ち悪かったけど…」
「そうか…」
「ぼく、凄く嫌で嫌で。ししょーから教えて貰った魔法でなんとか逃げてきたんです…」
「逃げて…?じゃあ、やられてないの…か…?」
「…?なにを…?」

キョトン…としたクリスの顔。このぶんだと抱かれては…いないだろう。
未遂なはずだ。

もしも抱かれていたなら、きっと今頃立てないはずだし…

抱かれた匂いはない。
上のシャツは乱れているが、下のズボンはきちんとベルトをつけたままだ。


「クリス、ズボンは下げられたか?」
「いいえ…ズボンは…」
「そうか…」

一先ず、最悪はまのがれたらしい。

しかしながら、自分のまな弟子を怖がらせた愚か者にはフツフツと怒りが込み上げる。
クリスが眠りについたら、仕返しの一つか二つしてやろうか…。

そんなリリルクの黒い考えが顔に出たのか

「ししょー?」

クリスは不安になってリリルクの顔を伺う。

「すまない、クリス。今度街にくる時は、私も随時同行しよう、薬品もその時買えばいい」
「は、はい…、えっと、ししょ…、あの…」


もじもじと、身をよじるクリス。

「どうした…?」

不振に思い、リリルクが声をかけると、クリスは「あのね…」っと、舌っ足らずな物言いで、ちらりと上目遣いでリリルクを見る。


「ししょ…、あの…、舐められて、気持ち悪いんです…、だから…だからお家に帰ったら、その…」
カァァ、と顔を赤らめるクリス。
甘えるように、リリルクのローブに顔を埋めた。


「クリス、」
「だから…ね…。家に帰ったらししょーに、消毒して…欲しくて、その…、」
「消毒…?」
「し、ししょーに、嘗められた後、消して欲しいんです…、えっと…ししょーが嘗めて、今日の人達の事忘れさせて欲しいんです…」

駄目…ですか?とリリルクを伺うクリス。

そんな涙目で、可愛らしく駄目?と聞かれて、黙ってられる程リリルクは人間が出来ていない。

何より、クリスはいくら目に入れても痛くない程可愛らしくリリルクが溺愛している弟子だ。

グラリ…となけなしの理性が揺れる。


「クリス…」
「はい…」
「とりあえず…家に帰ろう、消毒…はその後だ」
「はい!ありがとうございます、ししょー、」

えへへ、と笑みを零し、ぐりぐり頭をリリルクの胸元に押し付けるクリス。
その顔は、けして世間で噂されるような冷酷非道な魔道師の顔ではない。

こんなでれっとした顔は…。
弟子にめろめろな魔道師の姿だ。ある意味、弟子にまけているといえよう。

「ししょー、大好きです!」
「そうか…」

リリルクは一つ、眼鏡をあげると、ギュッと、クリスの肩を掴む。
それから、乱れた服のボタンを止めて、クリスが持っていた黒い鞄を変わりに持ってやった。



「戻るぞ」
「はい!ししょー」

クリスは元気よく返事をし、リリルクの手を握った。


冷酷非道な魔道師は、今はとても手のかかる弟子がいる。

手がかかるが、可愛い半獣の弟子が。

魔道師は、今まで一人ぼっちだったが、今は違う。
愛すべきものと一緒なのだ。

何よりも、誰よりも大切な人間が傍にいるのだ。


「ししょー、あの…ちゃんと、消毒して下さい…ね…?」

リリルクの理性が完全に切れるのも…きっと、そう遠くはないだろう。