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快楽×絶望×麻薬

「ん…」


先生、僕のこと見てますか?

「んぁ…」

先生、僕は貴方じゃなくても淫らになれるんですよ。


貴方じゃなくても…ほかの誰でも…。


悔しいですか?
僕も悔しいですよ。


「先生…」


貴方じゃない相手にヨガってしまう自分が。
貴方の代わりを求めてしまう自分が。

貴方しか与えられない快楽を探してしまう自分が。



いや



「一人に…しないでよぉ…」


情事の後、絶望だけが僕を殺す。

お大事に。

「おい、…ガキの癖にこんなの吸ってんじゃねーよ」

ヒョイっと僕の手から煙草を奪う先生。


「いいじゃん、俺の勝手でしょ?」


なんて、悪ぶってそっぽを向く。
先生はやれやれ、なんていいながら俺の隣に腰を下ろす。

ねぇ、先生。
貴方が肺に重い病を患っていること。
そして、もう長くはないこと。

俺が知らないと思ってました?



「やめろよ、煙草は…」
「いや」

本当は、貴方の苦しみを代わりに受けたい。

だけど、それが無理なら。

貴方と同じ苦しみが欲しい。


苦しむ為に、吸う煙草。

息苦しさは、キスの瞬間に似ていて

胸の苦しみは快楽。


快楽という名の、中毒。


処方箋は

「キスが、まずくなるだろ…?」


貴方の甘美なキス。


苦い好きでもない煙草を今日も吸う。

煙草じゃなく先生への依存。
依存症。

医者はそんな俺に言った。

お大事に≠ニ。
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