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ドライブ×ドライブA

前回のドラ×ドラ
mblg.tv



「…、っと…三川さん、俺指名してたんだけど…新しく変わったのかな…」
「あ、あぁ、三川さんは…その…辞めたんだ。だからお…私が代わりに…」

ヤバい、俺っていうところだった。
今の俺は女の子女の子…


「ふぅん…」

扶川はそういうと、ジロリと視線を俺に向ける。

上から下まで、まるで舐めるような視線を…。

もしかして…

いきなりバレタ…
冷や汗がタラリと背を伝う。


「あ、あの…扶川…くん」
「可愛いネ、三川さんも可愛かったケド…あんたも超可愛い」
「え…あ、ありがとう…」

超可愛いだなんて男に言われても嬉しくない

のが普通だと思うのに。

俺の心臓はバクバクと早鐘を鳴らしていた。

くそぅ…鎮まれ、俺の心臓。


「じゃあ、早速始めましょうか…えっと…先生は…」
「ん?」
「名前なんていうんですか?」
「白川…っと…白玉杏子(しらたまあんず)」
「しらたま?あんず…」
「う、うん…」


用意していた俺の偽名を言う。白井瑞穂っていう俺の本名も充分女っぽいけど。

同姓同名の職員だと、万が一女装が生徒にバレタ時言い訳できない…と、別の名前も用意したのだ。

「しらたま…しらたまあん…」

扶川は肩を震わせて俺の仮名前を笑う。
どうやら、しらたまあんずという名前がつぼったらしい。

「すっげぇ美味しそうな名前っすね…」
なんて笑いかけるんだから。

嗚呼、すっげぇいい笑顔。扶川のその笑顔見るの何年ぶりだろ…


「…白玉さん?」
「あ…ごめん…ぼーっとして…。じゃ、じゃあ車、案内するね…」

赤らむ顔を俯き、なんとか扶川の視線から逃れ、本日使う車まで誘う。

扶川は始終ニコニコしながら、俺についてきていた。


 原簿を見ると、扶川はまだ始めたばかりらしく、車にのったのも数える程のようだ。
しかし、案外扶川は覚えがいいらしく、車にのったのは数える程なのに、もう半分以上の仮免前にやらなくてはいけない項目をクリアしている。


「えっと…クランクとか…もうやったかな…」
「え、あぁ、やりましたよ」
「そう…じゃあ一通り走ってみようか」
「はい…」

扶川はコクン、と頷くと、キーを回しエンジンを入れる。

うわ…、扶川が俺の言うこと聞いたの初めてかも…っ
ちょっと感動だ…。


「ネェ…センセ…?」
「ん…?何かわからない?」
「ん〜と…」

ブルルル…とエンジン音が車に響く。
車来ていないのに…なんで出発しないんだろう……。


「なにか…」
「あのさーセンセって、彼氏いるの…?」
「は…?」

彼氏?

…俺が…?

って、俺は男…
と…今は女装中だ…。

しかし…
しかし今は一応実技中だぞーっ
そんなプライベートな事…いきなり…


「そ、そんな事はどうだっていいだろ…はやく出なさい!」
「はいはい…センセって、照れ屋さん?」
「っ…!」

ニヤッと、意地の悪そうな笑みを浮かべる扶川。

ドキリ…と胸が大きく弾む。

この顔は…昔から大好きな顔だったから…

ずっと…好きだった顔だから…

嫌われてからも、ずっと…


「…センセ…」
「…は、早く出せ」
「はいはい」

扶川は静かにアクセルを踏み、車を動かす。
俺はそっぽを向いた振りをして…こっそり扶川の横顔を盗み見ていた。

インコさんのいうとおり☆彡(九十九の日課)

アタシはインコ。
インコのコイン。

ボタンインコっていう、インコの中ではコザクラインコに並ぶほどの気の強いインコなの。

知ってる?ボタンインコってカラフルな鳥よ。
アタシも頭と顔はグレー背中から羽にかけてはうすい青色をしているわ。
エメラルドみたいでとっても綺麗よ。

ボタンインコを詳しく知らない人も、一度はテレビかなにかで見たことがあるんじゃないかしら。



アタシタチボタンインコは、嘴の力が強くて、簡単にセキセイインコや文鳥の足を契っちゃうくらいなの。


インコの中では凶暴で…
でも愛情深いって言われるわ!

もちろん、アタシの飼い主様への愛情も深いわよ。


アタシの飼い主は柊九十九(ひいらぎつくも)っていうの。


野暮ったいいかにも田舎にいるような、ダサイ眼鏡をかけて、人が良さそうな人…なんだけど…


ちょっと前に悪い女に騙されちゃってね……。


以来、恋には臆病になっているのよ。
ヘタレかっていうくらい…

困ったものよねー。

あぁ、ちなみに、九十九は25歳。


今が一番恋愛が楽しい時期なのにね…。


一応、恋はしているみたいなんだけど…
その相手がね…
「ハズキ…」

ほぅ…っと手にした写真を持ちながら息を零す九十九。写真には、ちょっとわんぱくそうな、元気の良さそうな青年。

その九十九の恋の相手が…、男の子なのよね。しかも、昔やっていたコンビニのアルバイトの後輩なのよ。

慰められた時ついコロッといっちゃったらしいわ。

まぁ、人の好みをとやかく言う必要もないケド。


「ハズキ…好きだよ…ハズキ…」


真っ赤な顔をしながら、アタシに向かって復唱する九十九。

もう、アタシは後輩クンじゃないってば。

何回言っているのよ、アタシに向かって、その台詞


「「ハズキ、スキ、ハズキ」」

やや呆れながらも、九十九にそう言う。
すると、九十九はニッコリと笑って、アタシをカゴから出した。

アタシってば策士。
カゴから出たい時は大抵こういうと九十九は出してくれるの!


「コイン、俺どうしたらいいのかなぁ…」
「ハズキスキ…ハズキ」
「はいはい、っとにそういう事ばっか覚えるんだから…」


ツン、とアタシの頭を撫でる九十九。

失礼しちゃうわ、自分がハズキハズキ言っている癖に。

でも、いいわ、九十九、幸せそうだから。

九十九が幸せそうならアタシも幸せだから。


アタシは九十九の指に頭をぐりぐりと押し付けて甘える。

九十九はそんなアタシを優しく撫でてくれた。



続く…?

※コインちゃんは雄です(笑)

ドライブ×ドライブ。

あいつが好きだった。
あいつの事が、誰よりも好きだった。

でも…


「あぁ、お前ホモなの。
ホモとか…マジ勘弁しろって…
キモいし」

そう言って、俺を避けずんだ目で見ていたのを、今でも忘れられない。

あんなに
嫌われるくらい…

いっそ、

出逢わなければ、良かったのに。

お前に会わなければ…
きっと俺は、男を好きな自分に気づかなかったのに。


     *

玉乃川自動車学校。
俺はそこの指導員だ。

俺の名前は白井瑞穂。
少し痩せ型で、ほっそりした身体。
色素の薄い、茶色が混じった肩近くまである長い髪は、よく女の子みたいとやゆされる。

簡単に俺を自己紹介すればそんな感じだ。


俺自身も、小さい頃から女顔で、母親や姉からは何度も着せ替え人形ならぬ女装をさせられた。

まぁ、これが似合うのだ。
あまり嬉しくない事に。


そして、今、俺は大変不名誉であるが女装し、教習を行っている。

これには深い訳があって、けして俺が自分の趣味でやっている訳ではない。
むしろ、仕事にそんな趣味でくるやつ自体、そういった特殊な仕事をしていないとやらないだろう。

では何故か。
俺が女装している訳は、教習所にいる女教官達がほとんど辞めた事にある。
辞めた、と言ってもただ辞めたのではなく、引き抜きだ。

近くに同じような教習所ができ、そこの売りが「女の子でも安心、女性教官」なのだ。

 内気な女の子なんかは男の教官を怖がったりする。それに何故か男よりも女の人の方が優しい、と思っている男もいるらしく、中にはどうせ指導されるなら可愛い女の方がいいというやつもいる。

女教官を多数引き抜かれた今、うちにいるのはたった二人しかいない。それに対し、女教官を指名してくる人間は多い。

今回、俺は女教官を何人か増やす間、臨時で女に成り代わる事となったのだ。



「扶川直久…」

自分が受け持つ教習生の原簿をみて、瞬時に固まる。
それは、俺が好きだった同級生と同じ名前だったからだ。

原簿には写真もつけられており、そこには記憶より少し成長したものの、相変わらず人を魅力する整った端正な顔があった。

知らず知らずのうちに顔が強張る。

なんで…あいつが…
俺が担当するのか?

あいつを…?

記憶の中の避けずんだ視線が蘇り、チクリと胸をさす。

もう何年もたっているのに…俺は……


「先生…?」
「えっ…」

「あんたでしょ?今日の担当。俺、扶川です、よろしく」


ニコッとそう言って俺に笑いかける扶川。

口元に携えた笑みは、高校の時、よく見せてくれたものと似ている。
でも俺が好きと告げてから俺には見せてくれなくなった…笑みだ。


気づいて…ないのか?
俺の事に……。


「…よろしく」
「あ、あぁ」

内心ドキドキしつつも、成長した扶川の顔に見惚れる。

昔もかっこよかった。
でも今は大人の色気も出て、さらに色気があり男らしい。


あんなに嫌われていたのに…俺はまたどうしょうもなく、扶川にときめいてしまっていた。

同性婚(会話のみ)



「やったよ、勝!ニューヨークでも同性婚が設立したって!」

「あっそー」

「さぁ!いますぐ行こう、ニューヨーク!イッツ・自由の国!さぁさ…早く」

「な、なんでニューヨークなんか…

金ないし…一人でいけよ…」

「わからない?俺と結婚しようって言っているんだよ」

「はぁ?」

「俺と、結婚して下さい」

「ばっ…きゅ、急すぎんだろ。お前…」

「返事は?はいかイエスしかきかないから」

「いいよ…」

「えっ…」

「なんだよ、自分から言ったくせに

いいよ。
俺も、お前と結婚したい……」

教官ハニィ(出会い)

教習所では、一番最初に受けるのが、学校説明だと思う。

学校説明のち、適正審査、それから第一学科…となっていく。

…今日は、俺が入所説明会の担当だった。

まだ教習所で若い部類の俺は、毎週3コマだけ、学科の授業を受け持っている。

毎週火曜日と、木曜日。それと、土曜日。


時間でいうと、火曜日が10時、木曜日が11時土曜日が1時だ。

本日は土曜日。
休日なので、俺が受け持つ学科のコマでは一番人がくる日である。


最近の車学にくる、大半の若者はそれこそ、簡単に車に免許が取れると思っている。
車はときに人の命を奪う、大変危険な凶器になるかもしれないのに。

あいつー深川宗樹もそんな、俺が毛嫌いするような人間だった。


10人くらい集まった部屋で入所説明をする。
俺が入所説明の時間、パンフレットを片手に学校説明をしていく。
深川は、皆がやや緊張した面持ちの顔をしているのにも関わらず、どこかへらりとしていて、俺の話をまともに聞いていないようだった。
なのに視線はビシビシとくる。

俺の顔にだけ、注視しているようなのだ。

説明会終わりに、俺は個別で深川を呼び出した。
こういう人間は、初めにしっかりと怒らないとダメだと思っていたから。

「ねぇ、お兄さんいくつ?」
「お前、その態度は…」
「俺とおんなじくらい?いいねぇ。そんなに若くて、先生っていうのは」

深川は呼び出した俺に対し、へらへらと笑いかける。むかつく。

「お前なぁ、俺は…んっ、」

腰に手が回され、なんだと思った瞬間、すばやく唇を奪われた。
口を強引に割るような、強い口づけ。

「んっふぅ…」
「可愛いな…教官」

口を離すと、やつは飄々とした顔で、俺の唇を撫でた。
そして、俺の押し倒し、馬乗りになり…

「手始めに、あんたに乗ってみようかな」

そういって、私の衣服を剥いでいった…。
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