愛さレンジャー(黄色普通で総受けの場合。攻め・爽やか緑)
俺、アイサレンジャー隊員・茂木啓太。高校1年生。
容姿普通・運動神経・頭脳ともに普通の、どこにでもいる高校生です。
身長は、最近少しのびて172センチになりました。
髪はやや色素の薄い茶色の色をした、とくに特徴のない男です。
特徴がないことが実はコンプレックスだったりします。
そんな俺ですが、このたび、世界を守るアイサレンジャーに任命されました。
アイサレンジャーってなにかと、聞かれますと、レンジャーと名のつくとおり、戦隊もののヒーローです。日夜悪の怪人と戦っていたりします。
高校生にもなって、ヒーローなんて…。俺も最初はそう思いました。
そもそも、戦隊モノなんて、特撮の世界だけだと思っていたんです。
だけど…。
「君に、ぜひ、アイサレンジャーのイエローになってほしいんだ!」
「お前になにか魅力を感じたから、所長はお前を押したんだ。お前言っていたよな、なにもないって。お前には、なにもなくなんかない・・・」
「啓太にいてほしい、俺は啓太と一緒に戦いたいんだ」
「凡人がいないと苛める相手がいないじゃんか!ふざけるな」
「啓太、俺は誰よりも啓太を望んでいるよ?啓太が側にいてくれないと・・・嫌だよ」
だけど、実際戦っているメンバーをみて、心が揺れて、結局みんなの説得があって、受け入れるようになって。
みんなのように、凄い特技とか運動神経はないけど、毎日頑張っているんです。
といっても、俺が一番チームの中では役立たずなんですけどね。
チームのみんな、すっごい俺に優しくて。
たまに優しすぎなんじゃないかな?なんて思うこともあります。
たぶん、普通な俺だから、話しやすいんでしょうね。
さて、今日は、そんな愛すべき仲間の、グリーンさんと遊園地にきています。
いわゆる、パトロールってやつです。人が多いところに怪人は沸きますからね。
今日のパートナーはグリーンさん。パートナーは毎回じゃんけんできまるのですが、みんなだいたい俺と組みたがります。
ブルーである、同じ学校の風紀委員の川辺さんは『お前といると面倒ごとが一番少ないから』とか。
レッドである、同じ学校の生徒会長木村さんは、『啓太は可愛いからな〜やっぱり可愛い子と一緒にいたい』だとか。
ピンクである、時季高校のアイドル佐上さんは、『啓太といると僕の下僕にできるし』だとか。
そして、今となりにいるグリーンである、久我さんは…
「どうしたの?啓太?」
「え・・・」
「駄目だよ、デート中にぼんやりしたら・・・」
にっこり、と爽やかな笑顔で微笑む久我さん。
い、今久我さんが微笑んだ瞬間、爽やかな風がふいたのはきのせいでしょうか・・・。
この久我さんは、『啓太がいると、僕は百人力だから、だから啓太と組みたい』といってくれた人で・・・とても爽やかな人です。
清潔感溢れるってやつでしょうか。
隣の高校ですが、久我さんの噂はうちの学校にも届いていて、久我さんファンも多数いるみたいです。
確かに久我さんは、爽やか〜で、いつもにこにこしていて、物腰も柔らかく、話しやすい方です。た、ただ少し困るのが・・・
「あ、あの・・・でー、デートというのは・・・」
「ん?デートはデートだよ?」
あっけらかん、という久我さん。
「いや、あのボクラパトロールに・・・、」
「うん、だから、パトロールという名のデート、でしょ?せっかくパートナーになれたんだから、これぐらいしなきゃ・・・ね?」
そういって、久我さんは僕の手を掴み、指まで絡める。
て、手つなぎ・・・!
こんな遊園地で男同士手つなぎなんて・・・
「く、久我さん・・・」
「はは、気にしない気にしない」
「気にします!」
だって、こんな・・・恥ずかしいじゃないですか!
まだ可愛い子ならいいですよ?絵になる・・・かもですが。
俺ですよ、何の特徴もない、冴えない俺ですよ?
ほら、注目浴びてるじゃないですか!さっきから、ちらちらとこちらを見てくる女子高生がいますよ〜
「久我さん」
「ほら、いくよ…、啓太」
「わわっ」
久我さんが、俺の手を引いて、無邪気に笑いながら走る。
まったくこの人は・・・。
苦笑しながらも、俺は久我さんと手を繋いだまま、その歩みについていった。