スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。




ガシャン…ー。
ガシャンガシャン…


今日も俺が暴れる度に手足についた鎖が音を鳴らす。


ここ何日か鎖で締められた手首は真っ赤に腫れズキズキと痛みを孕んでいる。


痛い…
どうして俺が…

そんな叫びしかない。


俺は無言でギロリと目の前に立っている‘兄貴’を睨む。


「兄貴…。外せ…。兄貴…兄貴…」
「愛しているよ…。はるき…。」


兄貴は泣きながら俺に言う。
愛おしく手の平で俺の頬を撫でながら。


聞いているこちらが泣きたくなる位、寂しく悲しい弱々しい声だ。



「嘘だ嘘…。」

俺はそれ以上兄貴の言葉を聞きたくなくて乱暴に手足を動かした。


ガシャンガシャンと鎖の音だけが寂しく室内にこだまする。


どこか寂しいその音はもう戻れない俺と兄貴の関係を表しているようだった。


無機質な鉄の灰色と俺の手首の血が妖しく混じり合い、鼻につく匂いが部屋を充満する。

微かに、欲望の匂いも混じって…。


まるでそれは…
絶望の匂いのようでもあった。

君が。SS

「ねぇどうして・・」

お前は笑っている?


俺はあいつに問いかけた。


「どうしてー」

俺の側にいる?
俺の隣にいる?

なにもできない俺なんか
見捨てればいいのにー。

見捨てる事なんか
簡単なのに…。

なのに、お前は側にいる。
いつも、俺の側に。


俺なんかの

側にいるんだ?

なんの為にいる?

あいつにとって、
俺と一緒にいても
いいことなんか…ないのに。


「それはね…」

あいつは俺を抱きしめ

「あなたが愛しいから。」

と言った。


「…貴方が好きだから」


悲しくなんかないのに

涙が溢れた…。

熱烈・バレンタイン

 バレンタイン…
その日は、男女問わずドキドキと胸ときめかす日である。
女の一挙一動に男は赤面したり、そわそわしたり…
意識したり…。
チョコの一つで悩んだり。

まさに恋愛のための日だろう。

だが、そんなバレンタイン…快く思わない人間も、いるもので…


オレもその一人だった。


オレの名前は坂巻依鶴(さかまきいづる)
26歳。


彼女は…いない。
と、いうのもモテない訳じゃない。


自分で言うのも何だがオレの顔は整っている筈だ。

では、何故バレンタインが嫌いなのか…。
まぁ、話すと長くなるもので…
でも簡単に言うとオレが女という生き物が嫌いな訳だったりする…。



オレは、女が嫌いだった。凄く。


特に、バレンタイン云々で浮かれている女は視界にも入れたくないくらい嫌いだった…。



「明日は…バレンタインな訳だが、学生の本文は勉学だ。
故に、学問に必要ないものを持ってきたら容赦なく没収するから。
そのつもりで…」


いつものように、慇懃な態度で生徒たちに言い放つ。


え〜。ブーブーと激しくわくブーイング。


全く、何をみんなバレンタインくらいでうつつ抜かしているんだか…。

チョコ云々で…。
ガキか。
あぁ、ガキだな…。


オレはそれを全く聞き耳持たずに平然と教室の扉を出た。明日になったら、また生徒たちに陰口言われているだろうが…


あの坂巻が『バレンタイン禁止とか言うんだけどー』とかその手の類い。
生徒たちは本当、噂とか早いからな。特に女子は。


下らん噂話をピーチクパーチク。


まぁ、でも言われても仕方がない。


なんせ、オレは『氷の風紀の坂巻』なのだから。


廊下に出て、冷たい風に当たりながら眼鏡を外す。


ふぅ…、と知らず知らずのうちに溜息も出てきてしまう。


激しい、自己嫌悪。


この時期になると、いつもそうなんだ。オレは…。


オレは自分にヒッソリと嫌悪しつつ、また眼鏡をかける。


ちらりと横目を走らせれば、窓には生真面目そうな、何の面白みもなさそうなオレの顔がそこに映っていた。


タラリ、と前髪を垂らした…少し浮かない地味な顔だ。


「バレンタインなんて、なけりゃいい…」


小さく、呟く。
幸い、周りには誰も人がいなくてオレの呟きは、独り言のように空気にとけた。


教師というのも楽じゃない。
オレは、数学教師の他に生徒に嫌われるベスト3に入る『生活指導』を担当している。


オレの、生徒にたいして容赦ない口調だとか、無表情で潔癖症な顔だとかをもじり、生徒からは『氷の風紀』と呼ばれているらしい。


ま、別に何と呼ばれようが興味ないけど。

ただ一つ噂を訂正するなら…、オレは全く潔癖症なんかじゃない。


むしろ、年がら年中年甲斐もなく汚い欲望を持っているただの、人間だ。
しかも、抱かれたいとか思っている種類の…。



ーオレはゲイだった。
バレンタインが嫌い云々も、そこら辺から来ている。


オレも、三年前くらいのここに勤めたばかりの頃は今よりも、もっと温厚な性格をしていた。


変わったのは、アイツに恋したからだ。


アイツ…冴草猛。
この学校一のモテ男で…この学校の生徒。


もちろん、男である。

アイツはとにかくモテる人間で、日に何度も女から告白を受けていた。
特に、バレンタインやクリスマス、卒業式のイベントなんかでは凄い告白の応酬にあっているようで、その噂を聞く度にオレはモヤモヤしたものを溢れさせていた。


幸い、冴草は女に興味ないのか、全て断っていたけど。
でも女だからって、冴草に告白出来るのは狡い。
これは完全な個人的八つ当たりだ。


オレが、冴草に告白出来ないからって、告白出来る女子に対しての…


完全な妬みである。
オレがいくら思っても、冴草には、オレの思いが届く訳ないのに。



「…バレンタインなんて、こなきゃいい…」


ゲイなオレには、無縁な世界なのだから…。


でも…。


「冴草…、チョコ…くらいなら…オレだってあげたっていいだろう…」

明日…下駄箱にでもこっそり入れてしまおうか。

生徒にああは言ったが、オレも明日はチョコを持ってくるつもりだ。

どうせ、渡せはしないだろうけど。

吸血鬼のなやみ。

僕たち、吸血コウモリは、仲間がなによりも大事です。

血の繋がりでしょうか。


仲間が血をすいそびれたときは自分がのんだぶんを吐き戻して口移しで血を分けてあげるし、血を分けてもらったコウモリは恩を覚えて、そのコウモリが血にうえたときは今度は自分が血を明け渡すのです。


最近のコウモリはそういったコウモリばかりではなくなりましたが。


でも困ったときはお互いさまです。


僕も、血を吸うのは下手ですが、お腹がすいているコウモリがいれば血をわけてあげました。


ある日、僕は仲間に血をあげすぎて、ボロボロになってしまいました。

どうやら僕は悪い仲間に目をつけられたようです。
彼等はロクに血を探したりはせず、僕に困っているから…といつも血をねだりにきていました。

小柄な僕が彼等に反抗できるわけなく…

いつも僕は口づけを奪われ血を奪われます。

彼等を助けなければよかったのでしょうか。

ここ最近は彼等に血を吸われすぎてロクに摂取できませんでした。

ぼんやりとする視界の中、僕はそっと目を閉じます。

昔…
僕が初めて、血を明け渡した同胞がいました。

彼は、僕を好きだと言ってくれ、いつか僕のピンチにはかけつけるといってくれました。

彼に…最後に彼に会いたい…

僕はそう思いながら…黒ずんでいく視界にすべてを委ねました。




     *

次の瞬間、僕が目を覚ますと…僕はフカフカしたおふとんに包まれていました。

ふわふわでフカフカで。

温かなお日様のようです。

ここは天国なのでしょうか。
あんなにおなかが空いていたのに、今はおなかは満たされ、元気です。

こんなに元気なのはいついらいでしょうか。

手足を見てみると、血のが通い、肌の色がよくなっていました。


「おきたのか…」

「えっ…」

突然声がし、僕は急いで声の方へ振り返ります。

そこには、カッコイイ背が高い男がいました。

黒い濡れた髪に、黒い黒い瞳。
ス、と切れ長な瞳に、薄い唇。
どこか冷たく感じる表情のヒトが。

「あ、あの…」
「だいぶ元気になったな…」

くしゃ、と僕の頭に手をおき微笑みかけるそのヒト。先程の冷たそうな空気が一転、笑うと優しそうなヒトへと代わりました。

トキリ…となぜだが僕の心が大きく跳ねます。


「あ、あの…あなたは…」
「あぁ、俺はお前の花婿だ」
「は?」

はなむこ…?
花婿って…?

「あの…」
「安心しろ、お前が血がなくなれば俺がお前にやる。お前はただ俺に愛されていればいい…」


男はそういって、僕の顎を持ち上げ、チュ、と軽く唇を落としました。


「愛してる、我が花嫁」
「は…はぁ…」

甘く囁く彼
僕はただただ自体についていけず…

軽い返事しか返せませんでした……

タコ占い師。

タコパウル君パロ擬人化?
飼育係←タコ





…あなたがすきです。
あなたが、だいすきです。

このきもちつたわればいいのに。


あのね、ボクがつたえたいのはね…

もっとべつのきもちなんだよ。
ねぇ…マウクス。

だいすきだよ。



「ハウツー、」

今日もボクを優しく呼ぶマウクス。優しいその笑みを見ると…なんだかとってもほにゃ…ってしてしまう。
マウクス。
ボクの飼い主。
そして、だいすきなひと。


「ハウツー、今日も予言があるんだ…」

マウクスは辛そうに顔をしかめボクに言う。

予言…か…。
って事はまたどこかの国と闘うんだね?


「ハウツー…」

そんなつらい声を出さないでよ…マウクス。

ボク、ちゃんと予言できるよ。大丈夫だよ

そう言いたいのに…

ボクの言葉は伝わらない。

だってボクはタコだから。

マウクスとは種族は違う。
タコなんだ。

ああ、でも勘違いしないで頂きたい。タコといってもボクはちゃんと知能もあるし、感情だってある。それから…少しだけ未来を予知できる。

それからそれから…
飼い主のマウクスが好きだったり…する。


誰が最初に始めたか知らないけれど、この国ではタコ占いというものがある。
ボクはそのタコ占いのタコに選ばれた訳。



占いはなんでも占うよ
時には戦争の事も…ね。

もちろん、外す事は許されない。
同胞達の占いを外した末路…それは死だった。


一度ボクが負けると占った戦争に出て国は痛い目を見て以来、国はボクを人間の占い師以上に見るようになったし、注目も大きくなっていった。


マウクスが元々貧乏な家の生まれだったんだけど、ボクの占いにより、たくさんのお金が入るようになった。

たくさんお金が入ってもマウクスは変わらなかったし、ボクに優しい。

そんなマウクスだからすきになっちゃったんだ。

だから…
だから自分の寿命を削るとわかっていても…
未来を占うんだ。

マウクスとずっと一緒にいられるように

マウクスがずっと幸せになれるように。



頼まれれば、何度も何度も占う。自分の寿命がつきるまで。

でもね…ほんとはね…

ボクが知らせたいのは未来なんかじゃないんだ。

ほんとはね…

ただ…

愛してるって……

マウクスにつたえたいだけなんだよ……。

ねぇ…マウクス。
<<prev next>>