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恋する気持ちは我慢出来ない。

 好きだ…と思ってた。

彼と恋人になれた時は本当に嬉しくて、
彼に触れられて愛おしいとさえ感じていたのに…


今は、自分の気持ちさえ、よくわからなかった。

やけっぱちのような、この感情さえ、わからなかった。

多分寂しいんだと思うし、自由になりたいんだと思う。


終わらせてしまえば、楽、なのかな…。

そうしたら、楽になれるのかな…


*

「どーやった?恵ちゃん…?」

ニヤリ、と色気を含ませながら笑った彼に、ひやりと眩暈がした。

嗚呼、ついにやってしまったのか…と…。

罪悪感とともに、流されてしまった自分が嫌になる。
でも衝動が止められなかった、っと納得する自分もいた。


 俺、坂根恵は、付き合って三年目の彼氏がいる。
今は喧嘩中だったりするけど、ちゃんと続いている彼氏だ。


しかし今同じベッドに寝ているのは彼氏ではない。
同じバイト先の佐々木勝だ。


「恵ちゃん…なんや、その後悔しとるーって顔は…」
「だ…だって…!俺彼氏が…彼氏いて…!」
「んー、いいやんいいやん。
俺やりたかったんやし…恵ちゃんのこと好きなんやから〜。恵ちゃんやって、俺の事好きやろ?」
「す…好きだけど…で、でも…そういう問題じゃなくて!」
モラルが…!
モラルってもんがあるだろ!

一応俺あいつとまだ付き合っているのに!

そりゃ、喧嘩していて、このままでいいのかな…って思っていたのも事実だしこのまま嫌になるくらいなら別れちゃおうかな…って思っていたけど…

けどさぁ…
付き合ってもいない男とやっちゃうなんて…どうなのよ、俺。

最低男じゃん!
ビッチじゃん!



「恵…」

ちゅ、っと耳たぶにあまがみをして、首筋に軽く愛撫をしてくる佐々木。


「ん…」

ついそれに喘いじゃったりして…

嗚呼、
俺の馬鹿ー

なにしてんだーっ
正気に戻れ!
俺の馬鹿ぁぁぁ


「駄目だ…っ!」

ぐ、っと佐々木の胸板を押す。途端、佐々木はむっと顔をしかめ、


「なんで…」
と不機嫌な声を零す。


「な、なんで…って…!あ、当たり前だろ!
俺には彼氏がいるんだよっ」
「彼氏がいて…、んでなんや?その彼氏、ほんまに恵ちゃんの彼氏なんか?」
「え…」
「恵ちゃん、すっごい身体寂しがってたで。
ほんまは、彼氏に不満、ありまくりなんやないか…」
「ふ…不満…なんて…」
「じゃなかったら今夜俺の誘い断っていたんとちゃうん?」
「…っ、」

不満なんてない。

本当に…?
本当にない…?



『お前、このままでいいと思っているのか…』
『もっとしっかりしろよ…』
『気持ち悪いよ…、現実みろよ…』


ズキ、と胸が痛む。

顔をしかめた俺の顔の隣に手をつき、佐々木は乗りかかる。


「恵…」
ふと、軽く唇に吐息がかかる。

いつもはヘラヘラと冗談しか言わない佐々木の真剣な瞳が、俺を指す。


「大切に、する…」

流されちゃ、いけない。
どうせ佐々木は俺の身体目当てなだけだ。


そうわかっているのに…


「やから…俺んもんになって…」
「佐々木…」



気がつけば俺は流されるように瞳を閉じて佐々木とくちづけていた。
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