ツヴァイのレポート

ナビのミイナからキリノが意識を取り戻したと聞いて俺達は医務室へ駆け付けた。ナースからキリノの姿を見て驚かないでと念を押され怪訝な気持ちのまま様子を見ると……。キリノは無惨にも右腕を失っていた。キリノは強い毒性を持つ黒いフロワロに触れてしまい汚染により右腕を切断せざるを得なかったらしい。キリノは自分がそうなってしまった事に相当精神が滅入っている。幻肢痛に苦しむ彼に俺達は何もしてやれなかった。キリノがあんな状態でどうするのか本部で話し合った結果エメルが代理を務める事になったのだが――・・・。やれやれ、酷使されるのは明確だな。アメリカも彼女にSECT11の指揮を執る権限はないと横暴な態度だ。ショウジとイズミの兄妹はほおっておくとして、エメルの用意したもうひとつの策というのが気になるな。詳細すら聞く間もなく都庁からの救援信号で、取り残されているだろう研究員を助けに行く事となった。
異界化はしていないものの1年前に狩り尽くした筈のドラゴン共がうろついている。これだけの竜がいては研究員も脱出など不可能に違いない。研究員の部屋に入ると悲鳴を上げかけたので俺は腕章を見せた。研究員は武装した奴等に脅迫を受けてデータを抜かれたと語った。それなら俺達を見て怯えたのも無理はない。武装した奴等とは……SECT11か。ムラクモの事をやたら嗅ぎ回るとは別の目的があるのだろうか――・・・。