ムラサメのレポート

エメルに叩き起こされた。議事堂へ向けて輸送していた殺竜兵器が地下道からロストしたらしい。
殺竜兵器……それがエメルの用意したもうひとつの策か。本部ではなく自室で直接ミッションを命令するあたりエメルは相当焦ってるのだろう。私達はすぐさま地下道へ急いだ。正直……地下道は苦手だ。下水の臭いに暗くてじめじめした空気。でも、今はそんな事を言ってる場合じゃない。兵器回収に向かわなければ。ナビのミイナが生体反応を幾つも検出したようだけど、こんな場所に逃げ遅れた民間人が多数いるんだろうか。
すると私達は黒い戦闘服の集団がいる事に気が付いた。SECT11だ。エメルは動揺を隠せない様子だけれど私だって驚いた。何故彼等が殺竜兵器を狙っている?どうして私達の邪魔をする?そんな疑問をぶつける暇もなく撤退する兵士。
ならばショウジとイズミに直接聞くしかないだろう。あの二人は、殺竜兵器が入ってるであろうカプセルの前にいた。私達より先に奪い取る気らしい。随分傲慢なものだな。ともかく私達は兵器を傷ひとつ付けずにエメルに届けるのが任務だ。仕方ない、イズミ達には引き下がって貰うしかない。
ところがショウジが交戦を中止させた。カプセルの中身が空だったからだ。まさか誰かに奪い取られた?二人は撤収したが任務自体は失敗に終わってしまったか……。
――・・・っ!?地震?私はすぐさま踞った。ツヴァイが咄嗟に私の頭を庇うように腕の中に抱いたので私は混乱しかけた。更に混乱したのは崩壊した地の下には巨大な遺跡があった事だ。私達は一度ムラクモ本部へ帰還した。