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加藤治子さん

 昨夜はお腹が痛くて、冷や汗かいてしまった。薬が効くまでなかなか眠れずつらかった。女は嫌ねえ…つくづく。

 女優の加藤治子さんが亡くなられたそうだ。92歳だったという。加藤さんといえば、私はやはり向田邦子先生のドラマのお母さん役がいちばん好きだった。『寺内貫太郎一家』、向田邦子×久世光彦『新春ドラマシリーズ』『終戦ドラマシリーズ』などでは日本のお母さんの姿を演じてこられた。私の中では森光子さんと並ぶ二大お母さん女優である。
 昨夜は痛くて寝付けないから『阿修羅のごとく』のDVDを引っ張り出して全話観てしまった。『阿修羅〜』では長女で未亡人綱子役。煙草屋の赤電話から、菅原謙次さん演じる老舗料理屋の旦那は愛人でお花の師匠・綱子宅に今夜向かうと電話をしたはずが、かけたのは綱子ではなく自分の自宅。向かうと伝えた相手は、綱子ではなく三条美紀さん演じる本妻。夫の浮気に気付いた妻は受話器を置いた後、おもむろにリンゴを食べ始めるシーンが印象的だが、加藤治子さんの強かなお芝居がグッとくるのである。最後のオチは向田先生ならではで、加藤治子さんしかできない艶っぽさと女の業が滲み出た演技だった。
 同じく向田先生の『春が来た』の母親役ではいつもの凛とした母親ではなく、桃井かおりさん演じる娘の恋人(松田優作)に浮き足立ってしまう。それまでシミーズ姿でだらしなかったのに、娘の恋人が遊びに来るたび綺麗になっていくという面白い役だった。あの落差は本当にすごかった(笑)。『家族熱』ではまた違った女の業を見せていて、これも本当に素晴らしい。
 体調さえ良ければ私は加藤治子さんの向田先生出演作品をすべて挙げて、それぞれ書きたいくらい語りたいことは多いし、彼女のお芝居が好きだった。向田先生とは親友の間柄だったそうだから、向田先生のイメージが手に取るようにわかってらしたのかも。
 『徹子の部屋』で前におっしゃっていた生い立ちが壮絶で忘れられない。加藤さんは幼いときに呉服屋を営む父親を亡くし、母親と思っていた人が実の母ではなく、愛人の子を次々と産んでいた人とわかって家を飛び出し芸能界へ。兄の自殺、兄の失踪などで苦労なさり、最初の夫は自殺で死別するなど、波瀾万丈だったらしい。そんなことを微塵も見せない彼女の明るさに勇気をもらった方もいたのでは?
 昭和のお母さんの代表みたいなイメージの加藤治子さんがもう観られなくなったのは残念だ。彼女を見るたびほっとした方も少なくないはず。あの優しい声に、あの奥ゆかしい眼差しに自分の母親や祖母を彼女と重ねたりして。それだけ素晴らしい方だったんだと思う。大往生であろう。 

ご冥福をお祈り致しております



   






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メアリさんのプロフィール
性 別 女性
誕生日 11月8日
地 域 福島県
職 業 マスコミ・芸能
血液型 A型
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