私にとって秋は読書の秋、映画の秋である。とにかくやたら活字が恋しくなり、何度も読んだ本を一年後また読み返すことが多いのだ。
『赤毛のアン』を読破して、今は渡辺淳一先生の『阿寒に果つ』を読み返している。この小説は渡辺淳一先生の初恋の人をモデルにしたお話で、ほとんど実話である。先生が高校生時代に出会った天才的画家純子が阿寒湖での謎の死をめぐり、彼女をめぐる大人の男たちの証言と回想録。純子は成熟した少女で自由奔放に男たちを惑わせていた。その男たちの中には渡辺淳一先生もいた。
昭和27年の真冬、阿寒湖へ絵を描きに一人で出かけた純子は、未完成の絵を旅館に残したまま姿を消した。三ヶ月後、阿寒湖の山の中で遺体で発見される。以前から自殺をほのめかしていただけに自殺と断定されたが、未だに詳しい死因はわからないのだとか。彼女の遺した絵は独創的で、とても十代の少女が描いたとは思えないほど素晴らしい。
渡辺淳一先生といえばこの間、TBSチャンネルで津川雅彦さんとの対談番組を観た。ちょうど『失楽園』がベストセラーになった頃の映像で、お二人で男と女の愛について語っているのが面白く、録画を繰り返し観ている。
「先生は不倫をよく書いてますねって言われるんだけど、俺は男女の燃えたぎる愛を書いてるのであって、燃えたぎる愛を書いたら不倫になっちゃっただけでね、僕もね夫婦の燃えたぎる愛を書きたいんだけど、素敵なご主人と美しい奥さんが結婚して家で愛し合いましたとさと書いたって誰も読まないと思う(笑)純粋の愛だけ書きたい。」と先生。確かに(笑)。
渡辺「昔の作家は偉くてね、小説かけなくなるとちゃんと自殺したりね情死したりね、最近、情死する人が居なくなった。太宰以降は。自分もちゃんとするべきだった」
確かに昭和までだったね。太宰治は好きになった女性にすぐ一緒に死んでくれって言ってたからね(笑)。
渡辺「神田正輝と松田聖子が正月に突き詰めたら離婚になったっていうの、洒落てるなあ、あれ!突き詰めなきゃ夫婦で居れたのに(笑)」
津川「あれやっちゃダメですよ。どうしたって一緒にいるわけですから(笑)一年間避けてきたのにね、毎年正月に危機になるから熱出して寝ることにしてるんですよ(笑)」
渡辺「こんなこというとこれから結婚する人に幻滅かもしれないけど、でも必ずしも正論でないところに真実がありますからね」
なんと衝撃的なお話なんだろう。男の人は話し合うと絶対逃げるのはそれなのかな(笑)。
渡辺「昔ね、女性とベッドトラブルがあってね、その女性がすごく怒ってヒステリー起こして延々と僕を貶して、あなたは最低だって機関銃のように僕にいうわけ。黙って聞いているうちに気持ちよくなって感動してきたわけ。素晴らしいな、こんな情熱込めてね、僕を感情込めて愛してくれて好いてくれてたんだなって感動したし、論理がめちゃくちゃなのに飛躍に感動しちゃってた。その飛び方が洒落てるのね。なんていいセリフなんだろうとメモしたくなっちゃったの。ちょっとトイレ行くっていってメモしちゃった。戻って頭下げたけどね(笑)」
男性の場合、理性的だから、女が感情的になるのがわからないって言うけど、そういうことなんだろうね。メモしたくなるの、なんか私にもわかる(笑)。何かに使えそうだものね(笑)。
こういう肉食系の男性が絶滅危惧種になりつつあり「あの人、危険な男よ」っていう人が少なくなった。少子化は女性が社会進出したからだっていう人がいるけど、私はそうは思わないな。男の人がリードしなくなったからだ。
渡辺淳一先生は「恋はだいたい前半は仕掛けるのは男で燃え上がらせるんだけど、後半は女が燃え盛る」っておっしゃっていたが、残念なことに今、仕掛ける男性を見かけなくなっている。時代は変わった。
たくさん拍手ありがとうございました!
>>来世さん
ありがとう!
>>アキさん
ありがとうございます!お元気?(*^_^*)
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