「私からも質問がありますの。…その格好暑くないのですか?」
 言われて自分の格好を見てみます。
 厚手、長袖のタートルネックワンピース。リボン付きニーソックス。どう見ても冬用のブーツ。しかもそれらの色は全て黒で、夏の日差しを容赦なく浴びせられています。普段ならさらにベストも着用していたのでした。
「あ、たしかにここんところ着っぱなしでしたねー。…やっぱりくさいですか?」
 不安そうにくんくん鼻を動かすフランさん。
「あら、匂いなんて全然しませんわよ?それにしても見ている方が暑苦しい格好ですわね」
 以前にフランさんが「あたしはあまり汗かかないの」と言っていたことをラザさんは思い出しました。
「これしか服がないんです。後であらいますね」
「これしか服が…無い…ですって?」
 エオスさんはわなわなと震えました。
「大変ですわ。何故今まで思い至らなかったのかしら」
 エオスさんは顔色を変えて走り去って行き、
「…なんだったんだろうね、わん太?」
 フランさんは汗一つない顔でキョトンとし、ラザさんはだるそうに鼻を鳴らしました。