今日も暖かった。ヤシオツツジの木がつぼみが少し膨らんできた感じがする。いつもは早くて四月に咲くが今年は早まるかも!

 さて、久々に映画レビュー書こうかな。今回は是枝裕和監督の話題作『万引き家族』をDVD・Blu-ray発売日が迫っているけど、元同僚の魔法でちょっと早めに鑑賞。

 物語は親子の万引きする場面から始まる。父親の治(リリー・フランキー)が人柱になり、店員が見えない間に小学生ぐらいの息子の祥太(城桧吏)がリュックにお菓子を入れる。
 家に帰ると初枝おばあちゃん(樹木希林)、母親信代(安藤サクラ)、母親の妹亜紀(松岡美優)が夕食の準備をしている。貧しくとも和やかな家族の食事の風景に癒されるが、実は全員血が繋がらぬ他人。本当の名前も、どこから来たのか知らない。そこへ近所のベランダで寒空の下、締め出された幼い女の子ゆり(佐々木みゆ)を治と祥太が連れて帰ると体には傷だらけ。おばあちゃんは薬を塗ってやったり世話する。そうして家族がまた一人増えた。治は日雇労働者だが建設現場で怪我をして働けなくなり、信代もクリーニング工場のパートの仕事を失う。頼りはおばあちゃんの年金だけになった。そんな時、おばあちゃんが亡くなっているのに気づくのだが…。

 おばあちゃんの死により、この擬似家族は崩壊していくんだけど、前半の一家団欒の生活が何だか温かく見ていてほっとしていた。しかし、あることがきっかけでバラバラになってゆくのだが、彼らの淋しさみたいなのが伝わってきて切なくなるのである。現実は偽物の家族であり、訳ありであろう孤独の人たちが求めていた温かい家庭を演じていたに過ぎないし、ましてや犯罪者なのだが、観ているこっちはあとで再び再会して幸せになってほしいと思えてくるから不思議である。
 どうしておばあちゃんの家にみんなが住むことになったのかは描かれない。最近の映画やドラマみたいに、わかりやすく説明するようなことをしないのが是枝裕和監督。「行間を読む」という日本らしい想像力で考えさせる狙いが感じられる。そこには現代には忘れかけている「人情」や一つの集合体の精一杯生きる力みたいなのがあったりして、早く捕まってしまえなんて思えなくなるような気持ちにさせる。描かれていることは人間なら誰にでもある闇であったり、家族の業なんだと後半に入って気付かされる。
 リリー・フランキーさんが明るい父親で一生懸命家族を思いやったり、安藤サクラさんも朝ドラ『まんぷく』とは違ったキャラクターで真骨頂。そしてそして眼福とも言うべき樹木希林さんの入れ歯を外し演じた貧しそうな未亡人もリアリティーがあり圧巻!国内外で高い評価を集めただけある。
 ちなみにあのおばあちゃんの古い民家は実在する廃屋を利用しているそうだ。
 観てから余韻がいつまでも続き、この映画のことが頭から離れなくて堪らない。Blu-rayが出たら買ってまた観たいと思っている。私のオススメの作品。ぜひたくさんの方に観てもらいたいし、この家族のことを頭を働かせていろいろ想像を巡らせてほしい。でも中には理解できなくてつまらないと思う方もいて、賛否両論でしょう。それでも一度は観てほしい!










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