『太陽にほえろ!』最終回で、犯人の妹に取り調べするボスのセリフ。
「僕の子分で背の高いちょっとキザなね、スコッチという男がいたんだよ。お酒はスコッチ、コーヒー日本のお茶は絶対飲まない。朝はモーニングティー!そして煙草ときたらこう長い金色のね、洋モクっていうのかな。煙草を吸ってる男がいてね。そいつの持病があって、犯人を追い詰めたときに、ここ一番っていうときに吐血してね。血吐いる隙に撃たれて、もちろん犯人も仕留めたんだけど…口の周り真っ赤にして死んでった。随分、部下を亡くしましたよ。部下の命は俺の命。命ってのは尊いもんだよね」
 ボスこと石原裕次郎さんは、大手術のあと最終回のために復帰。力のない、弱々しい裕次郎さん。スコッチのことをいちばん長く語っていた。もちろんほとんどアドリブ。「部下の命は俺の命。命ってのは尊いもんだよね」の言葉に泣ける。
 『太陽にほえろ!』で沖雅也さんがスコッチこと滝隆一警部補を演じて、今でも沖雅也といえばスコッチだとおっしゃる方も多い。
 レギュラーは前期と後期の復帰編。沖様はワンクールしか出演しない方だったが、復帰編では視聴率が低迷していた時期に人気あるスコッチを復帰させ、番組を支えてきた。結果的にそのプレッシャーが彼の精神を蝕み、ノイローゼにもなったし、躁うつ病に…。

 日活時代の大先輩の石原裕次郎さんは、そんな沖様の変化に気づいてか、こんなふうにいつも隣に呼び寄せ話かけていた。

 32年前の今日、沖雅也さんが亡くなったとき、最初に警察から連絡がいったのは養父の日景氏ではなく、裕次郎さんだった。長年私はそのことをずっと不思議に思っていた。日景氏が探しに出ていて連絡がつかなかったからだろうか。それとも石原軍団の一人と思ったのだろうか。
 答えは、亡くなる二日前から沖様は行方不明だったそうだ。京王プラザホテルに偽名で泊まっているのを、一緒に泊まっていたホテトル嬢しか知らなかった。しかも、アニメの吹き替えの仕事に行かなかったのに日景氏は探しに行かなかったというのが真相。
 裕次郎さんはひどく悲しんでいたという。可愛がっていた後輩が先に逝ってしまったこと。そして、裕次郎さんご自身も病と闘っていることを考えると、冒頭に書いた最終回のセリフはとても重い。

 三十三回忌。全国から沖様のお墓にお参りなさる方も多いのではないだろうか。マスメディアもそろそろ特集を組んでもらいたいですな。こんなに素晴らしい俳優がいたことをもっと知ってもらいたい。
 CSのファミリー劇場は七月で『太陽にほえろ!』の放送を打ち切るという。スコッチの名作やスコッチの最終回が観られなくなる方が多いはず。とても残念。ファミリー劇場にリクエストした方がいいかも。

 沖様は多分ご命日は賑やかに過ごされると思う。魂が安らかなので、ファンの皆様は心配なさらなくて大丈夫ですよ!
 ご命日は出演作を観たり、沖様の歌を聴いたり、たくさん思い出してあげると沖様の魂が喜ばれます。今日はぜひ!