祭壇のあたりがにわかに騒がしくなる。
飛び散る火花と詠唱――魔術の応酬。
暗闇の中を縦横無尽に駆ける影――テロル。
あくまで標的をサルファーとケトルに絞った弓使い二人――矢をつがえ、弦を引き絞り、次々と射掛ける。

「はあっ!」

勇猛果敢に挑みかかるケトル――上空に飛びフォローするサルファー。風で矢の軌道を逸らす、叩き落とす、切断する。

「降伏しろ!!」

弓使いの一人がケトルの剣の間合いへ。射撃不可能な距離に追い込み、ケトルの動きが僅かに散漫になるのをサルファーは見た。考えるよりも先に全身が総毛立つ。

「降伏するのは貴様の方だ!!」

弓使いが矢を掴み、刺突武器として繰り出す。

「接近戦に持ち込めば勝てると思ったか!? 甘いな坊主!!」

「そんなのアリかよっ!」

アリだ。

「そもそも何も対策をしないわけないでしょ……」

呟き、そもそもケトルは実戦経験が無いことを思い出す。
フォローしてやりたいが、こちらももう一人の弓使いの猛追を捌くので手一杯だ。

「まずいかも」