護衛を連れた身なりの良い男の人――それがエラムの第一印象だった。両親がその来客を客間兼居間に通している間、ミーナは言いつけ通りに店番をこなした。
話し合いは昼過ぎから閉店時間までかかり、ミーナが夕飯の準備を始める頃、ようやく客人が帰った。
室内に残った来訪者のにおいとぎこちない表情の両親に戸惑っていると、父親が強張った笑顔を貼り付けた。

「……ミーナ。大事なお話があるんだ。ご飯を食べ終わってからしよう」

ミーナは普段と違う父親の様子を心配したが、両親はミーナを安心させるように笑うだけだった。
今思い返すと、両親は言葉を考えていたのだと思う。