「オレ、そろそろ飽きてきたヨー。だから、これで終わりにするヨー!」

少年が滑るように加速する。
ケトルが片方の剣を受け止めると、もう片方の剣が来る。

「これじゃあさっきと変わらない……!」

「なー? 飽きるヨー」

「リャオ、真面目に戦え!」

少年に合わせ動こうとする女をテロルが遠距離から魔法を撃って押し留める。

「ねぇ双剣使い! 『飽きた』って違うでしょ?」

テロルが呪文の合間に言葉を投げる。

「本当は疲れたんでしょ!? あたしがさっきまで散々走り回らせたから!」

そういえば、とケトルは思う。走り回り、壁を蹴り、テロルの魔法を引き付けていた、おそらく敵の中で最も機動力のある少年。

「おまえ、おれと戦ってからずっと戦いっぱなしだったもんなあ。じゃあさっきは休んでたのか」

「ハァ!? オマエ相手に疲れるかバーカ!!」

罵倒が来た。

「でもあたしの魔術を相手にするのはきつかったでしょ? ねぇサルファー」

「そうだねテロル。左足とか動かなくなるかもね」

少年の動きが一瞬止まった。