「最早貴様らに打つ手はない。未熟な魔術しか使えぬ者と満身創痍の小僧よ、死ぬがいい」
「とっとと尻尾巻いて逃げ出した奴が偉そうなこと言ってんじゃないわよー!!」
「テロル、たぶん聞こえてない」
説明の最中もケトルは敵の警戒を怠っていなかった。
女の方はともかく、てっきり少年は会話中だろうとお構い無しに攻撃してくると思っていたので拍子抜けした面もある。
「ケトル」
テロルが屈むよう手で示す。彼女がミーナとそう変わらない身長なのが意外だった。
「失礼なこと考えてんじゃないわよ」
「いて」
耳を掴まれ、テロルの唇が寄せられる。
「手短に言うわよ。あんたがメインで戦って、あたし達はフォローするわ。あたしが合図したら目を瞑りなさい。いい?」
ケトルは頷く。自分よりも戦い慣れているテロルなら信じられた。
「話は終わったかヨー?」
少年が一気に間合いを詰めて来た。