『たす……けて……』

森の中でケトルはその呼びかけを聞いた。か細い、女の子の声だった。聞き間違いかと思うくらい弱々しい声だった。

「誰!?どこにいるの!?」

辺りを見回して叫ぶが、梢のざわめきの向こうからは何も返ってこない。

「気のせいだったのかな……」

夏の終わりの木漏れ日がケトルの蜂蜜色の髪を照らす。