男が寝台に片膝を乗せ、真っ直ぐ刃を突き立てようと構えた。少年の手から放たれた布が鞭のようにしなり、その腕に絡み付く。バランスを崩す男に蹴りを叩き込み、縺れ合って寝台から転がり落ちた。
少年は男の腹にまたがり、暴れる相手の拳を避ける。男が刃物を握ったままの腕を引こうとすれば拘束を緩め、男の力が抜けた隙に腕を捻り上げる。何度か攻防を繰り返すうちに、ついに男の手から刃物を奪い取った。
互いに息も絶え絶えである。

「……強盗か? 生憎オレは金目のものなんて持ちあわせていないよ」

「……そりゃテメエを殺した後に荷物を改めりゃいいだけだ。兎に角男にゃ死んでもらわにゃならん」

「何故……?」