外套は川の水を吸って重くなり、所々に水草や枯れ葉が付着している。少年は全身を濡らしたまま河原にうつ伏せになっていた。
川は深く、流れは早い。山は高く、岩肌は鋭い。
そこは谷底だった。街道から逸れた道、険しい山中の谷底だった。
吹く風が少年の髪や外套を撫で乾かしていく。

「一体どうしてそんなところで寝ているんだ」

声は空から降ってきた。