少年が倒れていた。
まだ十代半ば程の少年だった。幼さの残る顔立ちだが、その双眸は固く閉じられている。
背中よりも伸ばした髪を細い布で幾重にも括っているが、苔よりも暗い色のその髪は水気を含んで体中に纏わりついていた。
旅装に包まれた体格は大きくない。やや小柄と言えるだろう。しかし張り出た喉仏や筋のある手の甲、しなやかな筋肉のある体つきは少年がもう子供ではないことを示していた。