「ケトルの考えすぎじゃないかな」
ケトルは雷に撃たれたような顔をした。
マイトは続ける。
「ひょっとして、ケトルの顔や服に何かついていて、それを見ていただけかもしれないよ? そもそもミーナには理由を訊いたの?」
「訊いた。真っ先に訊いた。……なんでもないって言ってた」
ゆらゆら揺れる燭台の明かりの中、ケトルは寝間着の裾を握りしめた。
「悩み事でもあって、でも誰かに言えずにいるのかなって思ったから、ちょっとしつこく訊いた。でも、悩みはないって言われた。もうおれなんだかよくわかんねえ!」
少年は足をばたつかせる。