ケトルは短い髪をかきむしる。

「だって、仕方ないだろ! おれとミーナの配膳の仕事はおまえと一緒にしてるんだから、仕事中のミーナについて聞くならおまえが一番早いんだよ!」

「なるほどねぇ」

マイトはのんびりと白湯を啜った。
マイトは外見だけなら二十代半ばに見える、彫りの深い顔立ちの男である。ひょろりとした長身を簡素な寝間着に包み、屈託なく笑っている。
彼らがいるのはマイトの自室だった。夜明けにはまだ早く、窓からは月が傾いていくのが見える。