真乃途中

シャニマス五百三十八日目。

はじけてスマイルで次は決勝。
ビジュアル型です。準決勝ボーカル一位。
決勝に行くと途中で集計期間内に間に合わなくなりそうなので続きは明日です。
ただの育成に飽きてきたのでしらみつぶしにオーディションしました。

一次創作小説「変貌」@

「エラム様! そのお姿は……!?」

驚愕の叫びにケトルの意識が引き戻される。
見れば、テロルとの戦闘で倒れていた傭兵の一人がよろよろと上半身を起こしている。その顔は蒼白で、驚嘆に目を見開いていた。

男の腕が動いた。

「エラム様……!?」

奇妙に細長い腕が人間の首を鷲掴みにし、そのまま宙吊りにした。くぐもった悲鳴が聞こえる。ぶらり、大の大人の足が宙に浮く。

「褒美を与えよう」

その声は先程までのものよりも低く、瘴気さえ漂ってくるようだった。

「私の大望に協力したことへの」

ケトルは自分が酷く冷たい汗をかいていることに気付いた。目の前の光景に現実味を感じられない。まるでいつの間にか悪夢に飲み込まれてしまったようだった。
男の背からぶちゅぶちゅとした奇怪な音を立てて肉が盛り上がり、その腹からは毛のようなものに覆われた細長い脚部が生え、腹這いになる。三角形の頭部が生え、その両端にそれぞれ複眼が形作られる。触覚は太く、短く。その体は見る間に模様に侵食されていく。その胸部から腹部は前翅に、背面は後翅に覆われ。恍惚を浮かべた顔がそこだけなにか質の悪い冗談のように、頭部の下にくっついている。中脚と後脚はケトルの身長を超えていた。
それは巨大な虫だった。
水黽に似たそれが前脚で人間の首を掴んだまま動いた。

「待ちなさい――!」

テロルが叫ぶよりも先に、針のように伸びた口吻が獲物の胸元に突き刺さった。

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