その人物は、背格好だけなら少年と同年代に見えた。
しなやかな体躯にマントを纏い、長い金髪を一本の三つ編みにしている。肌の色は淡い小麦色、眼鏡の奥の瞳は群青色。引き結ばれた唇と太い眉が中性的な印象を与える。
木製の杖を緩く握っているのは少年を警戒してのことだろう。構えているわけではない。自然な立ち姿である。だが、何かあれば即座に動けるよう注意を払っている。
少年は身を起こし、両手を軽く掲げた。

「ひょっとして、怪しまれています?」

「当たり前だろう」

声そのものは女性のようだが声の調子は男性に近い。