原作 藤崎竜
小説 吉上亮


ノベライズです。
から仙界大戦の「あとしまつ」を頼まれた申公豹が数人のキャラクターと対談し、各人の回想を聞く話。


まず最初の普賢との話で殷が農耕民族とされていることに違和感を覚え、思わずネットで調べてしまいました。結果、農耕民族とする記述と騎馬民族とする記述どちらも出てきました。問題は殷が農耕民族か否であるかよりも、農耕民族と騎馬民族の書き方に違和感があることです…。
あと太公望と普賢の関係、この時点でこうでしたっけ?というのが常に引っ掛かりました。

聞仲の話でちらっと原典の『封神演義』に登場かつフジリュー版未登場のキャラが出てきて「おっ」となりました。元ネタ(史実ネタ?)を拾ってくると嬉しくなってしまいます。

読んでいる私のテンションは徐々に上がって来て、趙公明の話(特に元始天尊とのバトルのくだり)でページをめくる手が止まらなくなっていました。そうですよね、本人は至って真面目にあのノリなんですね…周囲と噛み合わないけれども。

ここまで来て天化の話が真っ当にコミックスの内容をなぞっていることが逆に新鮮でした。紂王様が元は賢王だったという第一話の開幕で提示された情報がここにきてずっしりきますよ。

申公豹が太公望の元へ向かうところで物語は終了します。ここからコミックス最終回へつながるのでしょう。ここの空気感はやはり良かったです。

どんな話かと思って蓋を開けてみれば、総集編しつつ各キャラクターの掘り下げでした。語るテーマも「仙界大戦とは何だったのか」なのでわかりやすく、覇窮からの人も(いるのかどうかはともかくとして)取っつき易いのではないかと思います。
趙公明が好きな人は彼の話だけでもいいから読んでください…視点が変わりますから。
太公望と申公豹ががっつり絡むのを期待していたから少し拍子抜けではありましたが、そもそもこのノベライズは主人公以外を掘り下げるものだったと気付きました。
(むしろ連載中にノベライズされていなかったことに驚く完結後にファンになった勢)