I love musicals
アイ・ラブ・ミュージカルズ
2016/7/7 18:30〜
当日セットリストを見つけられなかったので、ネットで見かけた昼公演のセットリストを参考に、作成しました。
備忘用に感想のようなものを書いていたらそっちがメインになっちゃった。
歌手の表記は次のとおりです。
P:ピーター・ヨバック
N:ノーム・ルイス
R:ラミン・カリムルー
S:シエラ・ボーゲス
聖:新妻聖子
※私はラミンのファンなのですが、レ・ミゼラブルにおけるジャベールがそれ以上に大好きで、まあ好きというか、どうにかしてジャベールに幸せになって欲しい(作中で死んでます)、という性癖の持ち主ですので、ノームさんがstarsを歌ったらdoorway to paradiseを目撃できる自信があるくらいジャベールが好きなので、その点ご了承ください
※この記事には追記があります。記事最下部にリンクがございます。本公演とは直接関係のない内容なので追記という形を取っています。人種差別について触れています。
〜第1幕(60分)〜
▼『口笛は誰でも吹ける』より
▽Everybody Says Don't
P/N/R/S
"I'm Peter!"と自己紹介すると、"Hi, Peter!"とみんなが答えてくれる演出が可愛らしかったです。アメリカの教育番組みたい。
そして、新妻さんが出てこなくて、あれ?ってなる。
全然知らなかったけれど、このミュージカルもスティーブン・ソンドハイムの作曲だそうです。Wikipediaには「it closed after 9 performances」と書いてあります。つまり当たらなかったんですね。
▼Overture
▼『ミス・サイゴン』より
▽Why God Why?
P
昼と夜でラミンかピーターが歌うらしいとは知っていたので、ピーターが登場してちょっと嬉しかったです。ピーターで聞きたかったから。声質はそんなに厚みがないのですが、その分すごく遠くまで通る声で、心の揺らぎとか迷いとか人間の弱さが上手に表現されて、ピーターで聞けてやっぱり良かったなと思いました。
▽Last Night Of The World
R/聖
いいわ〜ってなる。ラミンの若者っぽく歌う演技がけっこう好きです。情熱を感じる。またそれと反対にラミンの優しくゆっくり歌う時の歌声がとても好きです。
▽I'd Give My Life For You
聖
新妻さんの登場に拍手がわいた。歌は、母の歌だから、力強くて、新妻さんにぴったりでした。日本語で歌うのは日本限定なんだろうなあ、素敵だ。
▼『リトル・マーメイド』より
▽Part Of Your World
S
シエラの足元に尾ひれが見えた。手の動きもまんまアリエル。さすがブロードウェイオリジナルキャスト。声が可愛らしくて、実はリトル・マーメイド見たことないうえにあらすじもざっくりとしか知らず落ちもたぶんハッピーエンドなんだろうなってぐらいの認識だけど、それでもシエラのアリエルらしさは十分過ぎるほど伝わってきた。ディズニーのファンが見たらたぶん腰抜かすね。
▼『ノートルダムの鐘』より
▽Out There
N
素晴らしい。ノートルダムの鐘、ノームさん主演で見させてくださいと土下座でもなんでもしたい気分にさせる。ディズニーの映画を見たことがないのですが、こんなに明るかったっけ?ってくらい明るく歌ってくれました。音楽も素晴らしいので圧巻です。
▼『Guys And Dolls』より
▽Luck Be A Lady
P
セットリストの画像を見るに、昼公演ではラミンが歌ったっぽい。それはそれで聞いてみたいです。ラミンのドヤ顔色男ソング。
ギャンブラーな色男が遊びで手を出した女性に徐々に本気になっていくという王道ラブストーリーの、色男の歌。美女が幸運を呼ぶというアメリカでのおまじないを元にしており、ここでは逆に「幸運よ、今夜こそ美女の姿となって現れてくれ!」というような内容なのかな。ピーターのはっきりした歌い方は本当に今ここに現れてくれ!っていう切実な気持ちが伝わってきて、ちょっと面白かったです。
▼Gershwin Medley
▽I Got Rhythm
▽Work If You Can It
▽Fascinating Rhythm
S/P
▼『秘密の花園」より
▽Lily's Eyes
R/N
▼『カンパニー』より
▽Being Alive
R
ピーターが歌うかと思っていたので、ラミンが歌って、おっ、ってなりました。ラミンが歌うのはPOBでも聞いたのだけど、ああいうちょっとためたり強めにアクセント入れる才能がラミンにはあって、それがぴったりはまる歌。私は好き。
ただ、なんかめっちゃ筋肉質だし、愛妻家で子どももいるんだよな、っていうリアルの知識が頭をよぎって、純粋に歌を楽しめない自分がいました。
▼『ウエスト・サイド物語』より
▽A Boy Like That
聖
アニタがここまで新妻さんの歌い方にぴったりだとは思いませんでした。衣装がけっこう本物に近いこともあり、かなり感情移入して聞いていました。結果、ちょっと涙ぐんだ。恋人を殺されたこととか、それでもマリアを愛するところとか、この後に待ち受ける悲劇(レイプ)とか、考えたら本当に涙が出てきたの。私だけかしら。
▽I Have A Love
聖/S
マリアのバカ!って、完全にアニタ目線で見ていて、シエラの歌い方はマリアにぴったりで、衣装も白のワンピースがシンプルだけどこれまた本物に近くて、割と本気で泣くのをこらえてました。
▽Tonight (quintet)
P/N/R/S/聖
トニーとマリアのデュエットtonightなのかと思っていたので、ちょっと拍子抜けしました。でも全員で歌うのはやはり迫力があります。
ノームさんは若者の役にはちょっぴり、本当に本当にほんのちょっぴりむりがあるかな、って。ごめんなさい。なんか、だって、お父さん的な、滲み出る優しさと父性と温かさが、もう全然隠せてなくて、たぶん本人も別に若者として歌ってないんだろうなって思うくらい本当に優しくて、私はその優しさに包まれていました。
〜休憩(20分)〜
〜第2幕(80分)〜
▼Overture
▼『キャバレー』より
▽Willkommen
P
POBでのジョシュさんの演技は狂気染みていたのですが、なんてことだ、ピーターのMCは狂っていない。ピーターMCは、とても良い意味で、私達をキャバレーの世界に馴染ませる不思議な役回りを、時に語りかけて時に突き放して不気味だけどさっぱりと演じてくれました。MCに対する偏見がなくなった。
▽Cabaret
S
セクシーな衣装と妖艶な表情で歌い上げる様はなんだか女王様でした。気怠げにしているところなんか薄暗いキャバレーのチープさを演出していてドキドキしました。
▼『シカゴ』より
▽All I Care About
N
紳士の歌(歌詞だけは)なので、ノームさんに歌われると全てを捧げたくなります。「愛こそが私の気をとめる〜う〜」と鼻歌でも歌うように歌うので、本当にただの楽しげな歌みたいでした。
▽All That Jazz
聖/R/P/S
▼『蜘蛛女のキス』より
▽Kiss Of The Spider Wiman
歌詞
P
表現しにくいのですが、歌い方が男性的で、それがけっこう良かったです。
▼『オペラ座の怪人』より
ダダダダダッーといきなり始まるオペラ座タイム。
▽The Phantom Of The Opera
R/S
シエラのクリスティーヌは完璧なのです。ラミンのファントムは最高なのです。感動した。あの二人が、シエラとラミンが、いまここで、ここで歌っているという感動は、もう言葉では表せられない。衣装がもう少しオペラ座の怪人に寄せてきていたら、たぶん感動して泣いていた、それくらい感極まった。シエラの高音の美しさは、アンドリュー・ロイド・ウェバーがサラの歌声を聞いた時に感じた神聖さに近いものがあるはず。
▽The Music Of The Night
P/N/R
トリオ。三者三様の良さがあるのだけれども、凄いなと思うのは、三人が綺麗にハモっていたところ。ミュージカルの曲なので、たぶんそれぞれが100回以上歌っていて、自分なりのブレスとかアクセントとかあるはずで、そんな人間が三人いたら普通は統一感なく聞こえるのだろうけれど、そんなところが全くなかった。主旋律以外も丁寧に歌っていて、主張しすぎない歌い方で、綺麗だった。
でもですよ、はっきり言って三人の綺麗な合唱よりも誰か一人がフルで気持ち込めて歌ってくれた方が感情移入できたと思うの。
▼『Chess』より
▽I Know Him So Well
R/聖
二人の声質は微妙に違うのでハモるととても綺麗です。愛に迷う大人の歌。
▼『スウィーニー・トッド』より
▽Overture
奇才の作曲家。ソンドハイム様の複雑な音楽を楽しむ時間。クラシックの名曲のような素晴らしい旋律です。
▽Nothing's Gonna Harm You
「Not While I'm Around」の曲名で知られていますが、何故違う名前なのかはわかりません。パンフレットなどに理由が書いてあるのかな?
新妻さんは、男性が歌う歌を力強く歌うのが上手いと思っていたのですが、中性的な可愛らしい声で歌うバラードもいいもんですね。寝る前とかに聞きたい。
▽Johanna
N/聖
ジョアンナという娘に一目惚れした若者の歌なのだけれど、ノームさんと新妻さんが歌うとしっとりしたラブソングになっていて、それはそれで心が安らいだ。まあでもちょっとあのあれむりがあったよね。まるで違う曲やないか。
▼『ジーザス・クライスト・スーパースター』より
▽Gethsemane
P
最高の選曲です。ああ、しびれる。わがまま言うと「Heaven on Their Mind」も聞きたかった。ピータージーザスとラミンユダで。聞きたかった。もっとわがまま言うと新妻さんに「Everything's Alright」を歌ってほしかった。
ピーターの"I'd have to know my Lord"からの"Why should I die?"に至る高音ヴォイスが最高でした。このロック調の歌声はアンドリュー・ロイドウェーバーもきっと喜ぶよ。凄く歌うの難しい曲だと思うのだけれど、ピーターの解釈でピーターの声にぴったり合った歌い方でピーターが表現していて、だから心にぐっときました。都響の奏でるジャージャジャーンの旋律の神々しと合わさってピーターの額に聖痕を見た。
▼『シティ・オブ・エンジェル(ミュージカル)』より
▽You're Nothing Without Me
R/P
小芝居から曲に入っていくのだけれど、二人の言っていることがマジなのでとても面白い。一人はウエストエンドとブロードウェイでファントムを演じ、トニー賞も受賞している。他方は25周年記念コンサートで作曲家にファントムとして直々に指名され、続編も演じている(なおトニー賞にはノミネートされただけ)。マジである。もうどっちも凄いよもういいよ、と誰もが思ったに違いない。ちなみにラミンがファントムに指名されたことを説明する時に、指で摘んで引っ張る動作をしていて、たまらなく愛おしくなった。
そんな小芝居を打って、お前なんかどうってことない、と歌った後、ピーターがふと「なあ、ラミン。僕らなにやってんだろうな?」って言って仲直り。"I'm nothing without you"と二人で歌うハッピーエンド。最後は二人で締めのコーラスを譲りあうという落ちまで用意されていました。アレンジしたのかな?
こういうハッピーエンドコメディ大好きです。これ一曲聞いただけで舞台を見たくなるという素晴らしい演出でした。
▼『サンセット大通り』より
▽Entr'act
▽Sunset Boulevard
R
ブロードウェイで主演したかのような鬼気迫る素晴らしい歌声で、胸が締め付けられるようで、切なくなりました。夢に破れて現実に打ちのめされ、世間に悪態をつきながらもそれで生活が良くならないことを知っている、鳴かず飛ばずの脚本家の心の叫び、陽気でポジティブなラミンでも共感するところがあるのでしょうか。
この曲を作曲したアンドリュー・ロイドウェーバーと、次にラブネバーダイを歌うシエラを紹介する際に、先ほど言い合いで自慢げに言っていた「25周年記念コンサートでファントムに指名されて…」を大真面目に言い直していて、会場に笑いがおこった。「これさっきも言ったよね」ってラミンも笑っていて可愛かった。
▼『ラブ・ネバー・ダイ』より
▽Love Never Dies
S
完璧なのです。シエラのクリスティーヌは、オペラ座の怪人のときも、ラブネバーダイの時も、完璧なのです。
▼『ポーギーとベス』より
▽I Got Plenty Of Nothing
N
アフリカ系アメリカ人の歌なので、「I Got Plenty o' Nuttin'」が通常の表記のようです。なまっているわけ。このミュージカルの生みの親ガーシュインと言えば、日本でも人気のラプソディー・イン・ブルーの作曲者です。ブルーノート、ジャズ、黒人が生み出した独特のリズムや音感を取り入れて交響曲やオペラを作成していた、ザ・アメリカン。
ノームさんが演じてトニー賞にノミネートされたポーギーは、もう、なんというか、とにかく明るく、馬鹿みたいに自分が信じたものを信じて、惚れた女性といい感じになって歌うのがこれ、「ドアにゃカギがねえからさ、床に敷いたラグだって誰だって盗れっからよ。おれはそんでもかまわねえんだ」っていう具合。それをあのジャベールを演じたノームさんが陽気に能天気もとい暢気もとい純真な笑顔で歌い上げる。ワンフレーズ聞いたら一緒に口ずさめそうな単純なフレーズなのですが、ノームさんの素敵な柔らかい声が上がったり下がったり楽しげに弾むので、聞いていて全く飽きません。
なんかこの辺で、あ、これ歴代トニー賞のダイジェストだ、と思い始めましたね。
▼『ムーラン・ルージュ』より
▽Come What May
P/聖
これも若者の愛を紡ぐ歌なわけなので、選曲が私好みで嬉しい限りです。ピーターの明るめの声と新妻さんの柔らかい声音が綺麗に重なって、素敵なデュエットでした。"I love you"ってちゃんと言うところがけっこう好き。
▼『レ・ミゼラブル』より
▽Stars
歌詞
N
やばいやばいやばばばばいやばいやばいやばばばやばいって心の中が錯乱状態でした。後になって小道具に警棒が欲しかったな〜とか失礼なことを思っていたら、ネットでは「警棒が見えた」とおっしゃっている方もいて、自分の未熟さを実感しました。そういう方法があったか〜。幻覚ね〜。
▽Bring Him Home
R
出だしの歌い方がコルム・ウィルキンソンさんやJOJとそっくりで、やっぱりそっち方面をリスペクトしていて、歩んでいる道もそうなんだなって思いました。音楽の趣味だとコルムさんはロック、JOJはあくまでミュージカル、ラミンはフォーク、と共通点がないのに、歌声がこんな風に似てくるのはすごいなあと変なところで驚きました。
ラミンバルジャンについては、市長になる前が大好きなので、その点はほんのちょっと残念です。とはいえ感動の余り泣きながら聞いていたんですけれども。
▽One Day More
P/N/R/S/聖
最高です。泣けた。
ノームさん一旦はけちゃって、中々戻って来ないからもう歌わないのかとさえ覚悟しただけに、本当に嬉しかった。"one more day to revolution〜"ってジャベールの歌い出しが頭の中で反芻していただけに、聞けなかったらたぶん違う意味で泣くところでした。危なかった。
五人はそれぞれ声質とか雰囲気が違うから、五人だけなのにOne day moreをちゃんと歌いきっていて、プロの力を見せつけられて、なんか女王様に鞭で打たれて喜ぶ奴隷のように泣きながら歓喜して口がずっと半開きでした。
ちなみにピーターのパフスリーブが可愛かったしラミンのリボンも可愛かったです。ノームさんは大人だった。
▼『回転木馬』より
▽You'll Never Walk Alone
サウンド・オブ・ミュージックで知られるリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世が作ったらしく、最後の合唱曲に選ばれたようです。
この辺になると、このコンサートが終わってしまう、という切なさがあって、ちょっと曲に感動している反面、気が散ってもいました。すみません。
▼『サウンド・オブ・ミュージック』より
▽Climb Every Mountain
P/N/R/S/聖
そして名曲で締める、と。
本当に素晴らしいコンサートでした。来日発案者のピーター・ジョバックさんには頭が上がりません。ノームさん、ラミン、シエラ、新妻さんにも、お礼を言いたい。素晴らしいコンサートをありがとう。
ちなみに…ちょっと愚痴。
真面目な面子が揃っていたのか、プロだから当然といえば当然だけれど、ちゃんと打ち合わせして練習したんだろうな、って印象を受けました。日本の歌手にも見習ってほしい。たまにテレビ見ると全然練習してないんじゃないか?って人を見かけて嫌になるから。
逆にオーケストラが速くはしって歌がずれちゃっている部分があって、都響はこういうコンサートに慣れてないのかなって印象を受けました。本当のところどうなんでしょうね。しかし、時間はピッタリ終わったから、舞台監督かなんかから口すっぱくタイムキープしろって言われていたのだろうか。
あと、音楽の音が大きすぎるような。声が聞こえない部分があって悲しかった。オケのスピーカー音量ちょっと抑えて欲しかった。